こんにちは、山﨑理恵、通称みりえです。
ふと思いついて、「こんなはずじゃなかった」シリーズを、書いてみようと思います。
特定の方ではなく、社会を見て、全体をリーディングして創った想像上の人物です。
でもこれに似た状態になっている方、けっこう多いんです。
「子どもたちのために」と本人は思っていても、子どもたちからすると、「ただ重い」、ということがあります。
「こんなはずじゃなかった」みさこのケース~子育てにのめり込んだ結果
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みさこ 「重い。脚が、重い」
みさこは、階段を上るのが、つらかった。
我が家の階段なのに。
見慣れた階段は、あちこち傷だらけだった。ワックスも、はげている。真っ白だった壁は、古い写真のように、黄ばんでいる。
25年前に建てた時は、これから素晴らしい人生が始まるのだと思っていた。
重い脚をひきずるように上げ、ようやく階段を上りきった。
みさえは、すうっと息を吸った。「明るい声で」、みさえは、心の中で2回となえた。そう、「明るい声で」。
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みさこ 「まさと、ごはんよ。今日は、ドアを開けてくれないかしら?」
返事がない。
ドアの中からは、いつものゲーム音が鳴り響いている。![]()
みさえ 「まさと、お願い、今日は、ドアを開けてちょうだい。ごみも、いっぱいでしょう? まさと」
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まさと 「うっせー! くそばばあ! ごはん置いて、さっさと失せろ!」
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みさこ 「だけど、洗濯物もたまってるでしょう? また虫がわいちゃうわよ」
ドンッ!
何かが、ドアに投げつけられた。
みさこは、ふうっとため息をつき、ごはんがのった盆を、ドアの外に置いた。
いったい、いつまでこんなことが続くんだろう。
下に降りていくと、廊下で姑に出会った。
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姑 「いったいまさとは、いつになったら働くんだい。もう30じゃないか。
あんたが甘やかすから、こういうことになるんだ。
みっともなくて、誰にも言えないよ」
みさこは、言い続ける姑を振り切り、台所に急ぐ。
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姑 「ちょっとあんた、聞いてるのかい?」
姑が、台所にまでやってくる。
まさとみたいに、「うっせー!」と言えたら、どんなに楽だろう。
私は、姑も舅も大嫌いだ。でもそれを態度に出せばけんかになるから、いつも受け流してきた。
夫に言っても、なんの改善にもならない。
機嫌が悪くなるばかりだ。
私にはもうずっと、子どもだけが、生きがいだった。
子ども達を大きな家に住ませたかったから、姑たちとの二世帯住宅を作るのに同意した。夫の給料だけでは、庭付きの家は無理だった。
二世帯といっても、姑たちが年をとるにつれ、いつのまにか一世帯の生活になっていた。
いや、二世帯の時から、毎日、あれやこれや言われる生活だった。
そんな毎日で、子どもたちの成長だけが、生きがいだった。
幼稚園の頃から、まさとも夏美も、幼児教室に通わせた。ピアノ教室にも通わせた。
水泳にもかよわせた。送り迎えも、お金も大変だった。
でも、子ども達をりっぱに育てることが、私の生きがいだったから、がんばれるだけがんばった。
パートにも出た。
古いおばさんにいじわるされたこともあったけれど、それも、子ども達のためだと思って、がまんした。
いったい、何がいけなかったんだろう。
肩を、どんと押された。
姑だった。![]()
姑 「ちょっとあんた、聞いてるのかい? 夏美はもう2日も帰ってないじゃないか。
ちゃんと、アルバイトには行ってるんだろうね。
まったく、あんたが育てた子は、どの子もしょうがないじゃないか」![]()
みさこ 「……うるさい」
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姑 「え? なんだって? はっきり言わないと、わかんないじゃないか。
ぐじぐじしてるから、子ども達がああなるんだよ」
まさとは、県で1番の高校に入った。自慢だった。
高い塾に通わせた。やりたいと言えば、高い家庭教師もつけた。
いい大学に入れると、家の誰もが期待していた。
なのに、実際には、1年浪人したうえで、並の大学に入った。
卒業の時に、就職できなかった。あれから、8年、家にずっとこもっている。
夏美は夏美で、専門学校を卒業して、やはり就職できなかった。
アルバイトで稼いでいるものの、家に帰ってこないことが多い。この3日、連絡がとれない。
どこにいるのかも、わからない。
夏美は、そんなに勉強ができなかったから、いいお嫁さんになればいいと思っていた。
でもあれで、まともな人と結婚できるんだろうか。
まさとの気持ちも、夏美の気持ちも、もう何もわからない。
小さな頃から、あの子たちのためだけに、生きてきたのに。
いったい、何が悪かったんだろう。
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姑 「ちょっとあんた、聞いてるのかい? ばかにしてんじゃないよ」
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みさこ 「あ、ちょっと、出かけてきます」
逃げるように、家を出た。
今日は、ママネットワークお茶会だ。
若い人たちは子育てがわかっていないから、無料で教えてあげている。
誰も来ない日もあるし、1人の時もある。今日は、何人来るだろうか。
ファミレスで待っていると、赤ちゃんを手前でおんぶした、若いお母さんがやってくる。
あの子は、3回目だ。赤ちゃんを手前でおんぶしていると、目の前が見えなくて危ないのに。
この前、言ってあげたのに、改善していない。![]()
若い主婦 「みんなが仕事したりいろんなことしてると、焦っちゃって」
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みさこ 「焦る必要はないわよ。子育てほど、すばらしいものは、ないんだから」
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若い主婦 「みさこさんのお子さんって、ご長男さんは、ITで起業してるんですよね。すごいですよね」
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みさこ 「私はよくわからないんだけど、今は、いろんな働き方があるのよね」
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若い主婦 「娘さんは、アーティストさんなんですよね。すごいなあ。この子も、そうなるかなあ」
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みさこ 「子育てを第1に考えていれば、子どもは、りっぱに育つわよ」
帰り道、橋を渡っていると、突然、涙があふれてきた。
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みさこ
なに……やってるんだろう。
こんなはずじゃ……なかったのに子ども達は、りっぱに育つはずだったのに。
私は、自分でやりたいこともおさえて、子ども達のことを、いつも第1に考えていたのに。
帰りたくない、と思った。
帰っても、家にいるのは、口うるさい姑と舅。
ほとんど話さない夫。
部屋に閉じこもっている長男。
長男が、ITで起業しているだなんて、嘘。
娘がアーティストだなんて、嘘。
夕日が、なんて赤いんだろう。
このまま、ずっと橋の上にいたい。
あの若い主婦は、私のことを、すごい子ども達を育てた、りっぱな主婦だと思っている。
でも家に帰れば、現実が待っている。
私が生きたかった人生は、これだったんだろうか。
新しい家で、夢見ていた未来は、これだったんだろうか。
みさこは、橋のてすりをぎゅっとにぎりしめた。
夕日は、世界を真っ赤に染めていた。
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