今日はフライデー

金土日三日間は

彼と一緒だった……



とくに始まりの金曜日はお互い何時に帰宅しても

晩餐は

一緒に過ごしていた



二人の決め事

「付き合いでもお腹に入れないこと」

「うん!」



路地を左に折れる

あと数メートル歩くと

おうち



玄関横のキッチン窓

奥から明かりが漏れている

「電灯消し忘れたかな?」



扉を空けて

いつもの挨拶

「ただいま!」



奥部屋から

彼からの返事

「おかえり」



聞こえるはずも無く



数ヶ月前

「俺にはうなづいてあげることしかできない」

を最後に

来ることはなくなった



私が虫のいどころが悪くても

あなたは

いつも許容してくれていた



なのに

「なんか忠告してよぉ」

思い返せば

主語もなく述語もない

支離滅裂な私の想いの文章

読み上げて

忠告もくそもあったもんじゃない



私以上に

仕事のストレスあるのに

ただただ 

聞いてくれていた



自我の強さ

我儘

独りよがり

私の短所

ほんとどうしようもない



あなたの独り言が思い浮かぶ

「自業自得」

「何事も自分に返ってくる」

「短所 外出ししたら」

「戻ってきたとき 痛い」

「短所も天物 直るわけないし 嘆かずに こころの内で 自然消滅の寝技に持ち込もう」



あなたの智慧 結構盗んだんだけど

まだまだ……

あなたは笑いながら

「久子! お前の寝技へたくそやから」

「人工的に消滅してあげるから 吐き出していいよ」



なのに

「なんか忠告してよぉ」

まずかったなぁ

それに

こんなときに意固地まで出てくるしまつ

とほほ…



でも今日
「朝しっかり消したつもり…」





「おかえり! 久子!」





「……直樹ぃぃぃ ゴメンナサイ」





「俺のほうこそ ほったからしして……」






END