諒さん

の作品

Express

凝縮されたストーリー

そして

どこか切なさを超えて

運命を切り開いた二人を

感じました。


彼女へ激励作品のお約束

詩人江彰 透では

どうも

書けそうになく

彼女の作風とどこか

似通っている

メロウスカイを蘇らせて

彼の魂で叫んでもらいます。










あなたとは同じ職場。

二人の結婚が決まって、私は仕事を止める決意をしていた。

あなたは、周りの見方とは違い、本質は少し昔かたぎで古風好き。

だから、てっきり家庭に入るのが望みだと思っていた。


「なぁ、一緒になっても、君の望みどおりでいいよ」

「君が積み重ねてきたキャリアを延ばすもよし」

「家庭に入るのもよし」

「僕は、君の目指すところであれば」

「出来る限り、フォローするからね」


私は、恋愛経験は人並みにあった。ただ結婚という形は一度もない。

一方、キャリアは振り返ればこの会社で12年も積み重ねていた。

年齢も数えれば、34年になっていた。

そんなときに、突風が吹いたかのような感じであなたとゴールイン。

正直、あなたが何故私を選んだのかは不思議なんだけど。

ただ、どこか人の持っている匂いは同じなような気がしていた。

あなたは、離婚経験のある45才の独身、子供は18歳女の子と16歳の男の子。


あなたの説教、ううん、独り言だったね。

そのベスト3が、

私が

【最期の愛だから…】、【記録更新の愛だから…】

もうひとつが

【僕の目の黒いうちは…】

って持論を一生懸命語っていたね。

「わからなくてもいいから、小耳に挟んどいてくれ」

そんなあなたと私の共通点は

なんといっても

自分への【負けん気】かな。


「間もなく、終着東京に到着いたします…」

車内からアナウンスが聞こえて降りる支度にとりかかった。


三ヶ月ぶりのあなたと再会。

「あぁ、そうそう、この子も初対面だね」

なんて、お腹を擦りながら

愛しのあなたであり、

私の気安いお師匠さんを思い浮かべていた…





「この度はお越し頂きありがとうございました」

「お父さんも、貴女が添い遂げてくれたおかげで…」

「…」

どこから聞きつけたのか、

女性と男性の二人が、主人の葬儀に駆けつけてくれた。

あの人は臨終の前に、社葬に縁故もどちらも遠慮してもらって、

私と息子の哲也だけでとり行っくれと言い残していた。


「かあさん、あの人たち誰?」

「うん、あなたのお姉さんとお兄さんだよ」

「えぇ、かあさん知ってたの?」

「ううん、はじめてだよ」

「きっと おとうさんも サプライズだよ」

「さぁ、哲也、お腹減ったでしょ?」

「うん。でもお坊さんのお経って長いね」

「あとさ、オヤジの裏話教えてよ?」

「そうね…」


あの人が

私に残してくれたこと。

あの人の人生の中で体験したできごと。


あの人がひたすら、

【自分に厳しく人にはやさしさ】

をモットーにした失敗談、

そして乗り越えた喜び談。


そして未熟な私を見捨てないで

私の宝の原石を発掘してくれて

「俺が目の黒いうちは、君が宝の原石を磨きわすれたら」

「何度でもイエローカードかざすから」

「自らレッドカードをかざすんじゃないよ」

「君のレッドカードは僕が身代わりになるから」


これからも

あなたの秘伝を心に仕舞って、

あなたのモットーと共に歩んでいきます。


そして

哲也に伝授していきますね。





END