親愛なる諒さんが

切なさ過ぎるってことで、少々エピローグを脚本風に書いてみます。


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ムービー『二分の一プラス十年』を観終わって、

涙いっぱいためて、諒が。

「ねぇ あなた ティッシュある?」

「え~ 持ってないんか?」

「ウ・・ ウン、忘れた!」

「ほんまに!?」

こいつの能天気なところは相変わらずだけど、

感受豊かなところで、いつも帳消しにしている。

「はい どうぞ!」

「ありがと!」

周りをきにすることなく、勢いよく鼻をかんでいる。

ようやく、落ち着いたのか、例のごとく、感想を聞いてくる。

「やはり距離は心の距離に勝てないの?」

「切なさ過ぎる!」

泣き止んだと思ったら、またまた涙いっぱいためて。

「あなた!もうひとつティッシュある?」

「はいはい! どうぞ!」

「ありがと!」

「ねぇ どう思う?」


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「うーむ、ほんと、切な過ぎるね」

「確かに、このときの二人は、距離に負けたかもしれないね」

「たださぁ、二人は深追いせずに」

「負けを認めて撤退したんじゃないのかなぁ?」

「もし、このまま深追いしたら、せっかくの二人の愛が臨終するから」

「末永く生きていくために、撤退したんじゃないのかなぁ?」

「恋は終わったけど、愛は残ったんじゃないのかなぁ?」


「諒がさ、いつぞやお寿司屋さんでさぁ!」

「俺が、いただきますも言わずに」

「さすが、ここの刺身は新鮮で旨いなって言ったら」

「耳元で、注意してくれたことあったやろ」

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「あなた! お魚さんの命に失礼でしょ!」

「命を頂くんだから、欠かさず」

「いただきますと、ごちそうさまは忘れちゃダメ!」

「それと食べ物にはいろんなひとの功があって」

「食べれるんだから、そんな人たちにもね!」

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「そのときにね、確かに人って」

「いろんな失敗や犠牲の上で成り立っていて」

「その先に、なにかわかんないけど」

「光明が待ってるように思うんだけど」

「おそらく、この二人の未来には、この経験が」

「息づいていると思うよ!」

「切なさすぎれば過ぎるほど」

「糧にして生きていけばいくほど」

「天は微笑んでくれるって・・・」


「だから、二人の切なさに 一緒に泣けて」

「俺たちも幸運だね」


・・・・・・


「そうだね」

「二人の尊い恋の犠牲のおかげで」

「恋は終わったけど、愛は生き続けてるんだね」

「二人の恋に、ご馳走様でした」