第二話 「突然の入院」

突然、美子から別れを聞いたけど、美子のことだから問いただしても無駄だと感じた。

「そっか」

一言相槌ながら

「美子 泊まる?」

「うん」

その日は、久しぶりに美子と枕を並べて、昔話に華を咲かせた。


朝目覚めると、横で寝ていた美子の布団は片付けられていた。

起き上がって、ダイニングのテーブルに目をやると、ハムエッグとサラダが添えられたお皿とメモが。

「知美 ありがとう」

「それとね、淳は別れたって気がついてないから」

「問いたださないでね、お願い」

「ハア?? どういうこと?」

今日でも淳を責めようと思っていたのに、美子からのカウンターパンチ。

意味深なメモを読んで、しばらく考え込んだけど、

まぁ、美子のことだから、おいおい明かすだろうと、その場は行動を控えた。


数日静観していたけど、美子からの音信がなく、据えかねて携帯に音信してみる。

すると、電波の届かない・・・ってアナウンス。

数度してみたけど、やはり同じ。

美子の家に電話してみても、呼び出し音はなれど、留守電にもならない。

「どうしたんだろう?」

「おばさんに電話してみよう」

って思いながら、

美子の実家に電話してみる。

呼び出し音のあと、こっちは留守電になったので入れてみる。

「こんにちは、広瀬です、あの美子・・・」

「いえ、また電話します」


その日が変わるか変わらないぐらいの12時まえに着信音が鳴る。

携帯を開いてみると、美子の実家からだ。

「はい、広瀬です」

「知美ちゃん!」

どこか、気落ちしてるトーンでおばさんからだった。

「はい 知美です」

「・・・」

「おばさん?」

「・・・」

「おばさん 美子そっちにいます?」

「ううん 居ないんだけど」

「じつは、おとつい 緊急入院したの」

この前の別れの告白につづき、連続の突然の入院のしらせ。

「えー 入院?」

「そうなの 小さい頃の病気が再発したみたいで」

「おばさん! あした行くから ちゃんと教えてよ」

「うんうん 知美ちゃんだけには 教えるね」

えー 私だけ?

思考回路がパンクしそうだったけど、

かろうじて、最後におばさんの携帯番号を聞いて受話器を置いた。


美子の小さい頃の病気は、たしか小学校2年のときで、数ヶ月入院したことがあった。

そのご、完全回復したと聞き、何事もなく過ぎていた。

ただ、当時、命に支障をきたす病気って、小耳に挟んだことを思い出した。