HPが完成しました。

PCで見ている方はそちらのほうが観やすいかと思います。


ここのブログなのですが・・・。

しばらくはこのまま、消さずにおこうと考えています。

しかし、これ以上の掛け持ちは正直厳しいので、

いつになるかは分かりませんが、いずれ消すことになると思います。

ブログとして観ていただいた方、ケータイで見ていただいた方には

本当に申し訳なく思っておりますが、ご理解の程お願いいたします。


HPのURLはコチラ↓↓


http://biggestdreamer.rakurakuhp.net/


リンクも追加しました。


これからもどうぞよろしくお願いいたします。


注:前の小説「心」の続編ではありません。





最近。なんだか調子が出ない。

ボールを蹴っていても、いまいち集中出来ない。

おまけに、授業中はボーッとしているわで成績もガタ落ち。まぁ、もともとそんなにできねーんだけど。









母さんは期末の個票とオレを交互に睨みながら何も言わない。いや、何も言えないんだろう。

それもそうだ。

あれだけ吠えて言葉が残っていたら、オレの身がもたねーよ、多分。



ただでさえ、調子わりーのに。




あ、ヒカリの奴オレを見て溜め息つきやがった。




畜生。

母さんに聞こえないように舌打ちをして部屋に戻る。

ドアを強く閉めたからかな、母さんが名前を呼んだけど、なんかもうどうでもよくなった。





「欠乏症ね」

顔を上げるとヒカリがベッドの上て笑っていた。

なんでいるんだとか、どういうことだとか、色々思ったけど何も口に出さなかった。でも、察しがついているようで、笑顔のまま続ける。


「空さんよ」

この時どれだけ間抜けな顔をしていたのだろう、今度は声を上げて笑われた。ヒカリは立ち上がって、ドアの前で振り返る。

「病気は薬を飲まなきゃ、治らないのよ」

それだけ言って、自分の部屋に戻っていった。

「なんだ、ヒカリの奴。意味わかんねぇ」

薬どころか、火に油。ますます悪化する一方だ。


イライラするとか、怒るとかって、見た目以上に体力を使う。気が付けばオレは眠っていて、突然鳴りだした着信音に驚いて発信元を見ずに電話に出てしまった。


「もっ、もしもし!?」

「太一、大丈夫?」


びっくりしすぎて声も出なかった。


「ヒカリちゃんが、お兄ちゃんが重症だから電話してあげてって。何かあったの?病気?」


本気でそんなことを聞いてくる空に、喉の詰まった筋肉が元に戻るのを感じる。ヒカリが言っていたのはこのことだったのか。


「そう、病気」

「えっ、大変なの?」

うん、って答えてから、なんか可笑しいのと申し訳ないのと、混ざったような変な気持ちになった。


「欠乏症だって」

「欠乏症って、何の?カルシウム…あ、鉄分?」




ばーか。

そんな偏った食事はしてねぇよ。





「・・・お前が足りない」




***あとがき***


最高の処方箋。




は、はづかち~(汗;;


いきなり降りだした雨。

冬にはめずらしいほどの豪雨。本当に家に居てよかった、と空は真っ黒な雲を見て安堵の溜め息をついた。もう12月、いくら例年に比べて暖かいとはいえ冬は冬。まあ、外に出る理由なんて無かったのだが。






ただなんとはなしに窓の外を見ていると、見慣れた癖っ毛を萎らせた幼なじみが真下にある入り口に、これ以上に無いくらいのスピードで駆け込むのが見えた。


――――さっすがエースストライカー。


そう一人で感心した瞬間、ある筋書きが空の脳裏に浮かぶ。

「こうしちゃいられない」

もう一度雲を見上げて、空はバスタオルを持って階段へ向かった。


何故階段なのか。

それは絶対と言っていいほど太一は階段を使わないからだ。


――――トレーニングだ。

そう言い始めたのはもう二年も前のこと。始めた当時こそ登り切ったとたん膝をついていたが、今では軽く息をあげる程度になってきた。どんなにひどい熱があっても、彼は必ず階段を上ってくる。風邪のときぐらい控えるように何度言っただろうか。それでも太一は意地になってやめなかった。きっとそういう性分なのだと空は思った。

だから、 階段を降りれば絶対に鉢合わせる。そう思って、空は一心に階段を駈け降りた。しかし、太一は一向に姿を見せない。空は下りる階段を間違えたかと思ったが、当の本人はエントランスのベンチに気の抜けた顔で座っていた。


「太一」


「おー、空。おま…」

ばふっ、と何か言い掛けた太一にバスタオルを投げ付ける。


「空!何でここにいるんだよ、そんな薄着じゃ風邪ひくぞ」


「誰かさんがお困りじゃないかと思ってね。それに今風邪をひくっていうのなら私じゃなくて太一よ」

空はまた何か言い掛ける太一の手からバスタオルを奪って、強引に彼の癖っ毛を拭く。


「ばっ…やめろって」

必死の抵抗に、仕方なく手を離した空は、心底満足そうな顔をして言った。


「鍵」

「は?」


「鍵、無いんでしょう」


太一のしかめっ面がふにゃふにゃと笑顔にかわる。

「すべてお見通しってか」




その言葉に、空は何も答えず、ただ声を上げて笑っていた。



***あとがき***


続いたり続かなかったり(笑)


空さんは太一さんの行動パターンぐらい全てお見通し

なんですよ。


今、私の頭の中には後編の筋書きがしっかりできてお

ります。

詳しいところはまた続編で。

「何聞いてるの?」



体温



もう夏の面影も見られなくなったある日の昼休み。
太一の耳に、小さなイヤホンが収まっていた。
私やヤマト君に比べて太一はあまり音楽を聴かない。何かをおとなしく聴くな
んて柄じゃない。
だから、口を半開きにして何かに聴き入っている太一を見て私はちょっとだけ驚
いた。



「ヤマトに借りたんだ」



プレイヤーの画面に映る小さなジャケットを見て、また驚いた。


洋楽…。

私だって滅多に聴かない。
ヤマト君に借りたっていうから納得できるけど、何だか少し悔しい気持ちになる。



「片方、貸して」

そんな気持ちからか、わかりもしない洋楽を聴きたくなった。
あぁ、と太一は締まらない返事をしながら白く細長いコードを差し出した。


コードの短さから自然と体が近づく。それが無性に恥ずかしくて、背中合わせで
曲を聴くけどやっぱり近づいてしまう。



――トン…。

急に背中に感じる体温が高くなる。



「太一?」



返事はない。
代わりに、どんどん重くなる太一の背中。



寝ちゃったのね。



寝顔を見られないのは残念だけど。
僅かに聞こえる太一の息遣いに、私も眠くなってきた。



「一度寝たらなかなか起きないもの…少しくらい、いいわよね」

もちろん返事はない。




「おやすみ」




遠くで昼休みの終わりを告げる鐘が鳴っていた




***あとがき***


この後、授業が始まったことに気がつく空さんは、

太一さんの「サボっちまおうゼ☆」と言う言葉に耳

を貸さずに二人で教室に戻っちゃうんですよ。


その後はクラスの皆さんにカップル扱いされちゃ

って。

さらに悪乗りする太一さんにこれ以上ないほど真

っ赤になった空さんが鉄拳制裁を下す・・・。


なーんて簡単に想像できちゃいますよね~。


・・・・・・・。


アレ?そこまで書いた方がよかった・・・かな・・・?



あと、プレイヤーはⅰPodじゃないほうがいい。

「あら?」



「え、何だよ」






「太一、箸ちゃんと持てるようになったんだ」


小学校の給食の時間、何度か注意したのを覚えている。

箸ぐらいきちんと持ちなさい、って。 中二になった今でこそ言わないものの、注意した直後はうるさくて仕方がなかった。


『なぁ、持ち方合ってるか?』


同じことを何度聞かれただろう。 中学に入り、クラスも部活も別々になって、一緒に食事を取る機会が少なくなったからだろうか。空自身、注意したことすら忘れていたけれど、太一の意外な成長に少し驚いた。


でも何故だろう。

あれだけ注意しておきながら、正しく持たれた箸を見てちょっと淋しくなった。

身長もそう。相方にとっても、自分にとっても嬉しいことなのに、開いていく身長差が自分達の距離に思えて仕方がないのだ。




変わっていく太一を見るのが、今は辛かった。




「淋しいなぁ」



「え?」


気が付いたら、そんな言葉が口をついた。間抜けな顔のまま、太一の動きが止まる。それからゆっくり、弁当箱の角に箸を架け、口を開いた。




「俺も」


突如として返ってきた同意の言葉に、空は驚きを隠せなかった。



止まっていた雲が動き始める。

それから太一は、一つひとつ数えるように言葉をつないだ。




自分が中学に入ってからサッカーをやらなくなったこと。


最初は何で、って理由がわからなかったこと。




一通り話し終えたあと、「でもそれってさ、俺らが成長したってことだと思うんだ」 そう言って太一は笑った。


自分について、そんな疑問を抱いていたなんて知らなかった。だけど今の太一なら、その辺に転がっている不安ぐらい軽々と持ち上げてしまうだろう。


相方をもっと信用してもいいのかもしれない。



「変わるのはいいことなのね」







雲はもう消えていた。



***あとがき***


四ヶ月近くの放置の後の久々の更新;;

観て下さっていた皆さん、本当に申し訳

ありませんでした。


ちなみに管理人、無意識のうちに箸の持

ち方が変わることがしばしばあります。

個人的に、そういうところは、日本人とし

て直していきたいですねぇ。