イラストレーター村田峻治の日常 -69ページ目

漫画映画の復権

CUTの最新号を読んだ。特集はマンガ原作の映画がテーマ。

そこで何度も出てくる単語に『マンガ映画』という表現があって、そこに違和感を覚える自分が居た。

特集内ではマンガ原作の映画のことを通称として言っているのだが。

何か歯に引っかかったほうれん草の様な感覚におそわれた。

思えばスタジオジブリ以前の宮崎駿は『漫画映画の復権』を声高に訴えていた。

長編時代の東映動画作品にはそういった物が沢山あったし、そう公言して創っていた。

しかし1980年台に入ると、現実には動きに快感を呼ぶような『漫画映画』と言えるような作品が皆無といってよかった。

そこに切り込むように宮崎さんは『未来少年コナン』『ルパン三世カリオストロの城』『名探偵ホームズ』等といった作品を世に送り出していたが、興行的に結びつかなかったり、途中降板したりでお世辞にも今の『世界の巨匠宮崎駿』が現実になるなど誰も想像していなかったろう。

しかし『風の谷のナウシカ』が成功し、スタジオジブリで自作品を『漫画映画』と言っていた宮崎さんも近年では『アニメーション』と言うようになっていた。

事実、宮崎駿の長編引退作の『風立ちぬ』は漫画映画ではなかった。前作の『崖の上のポニョ』はある意味『漫画映画』だったが。

今、世に溢れているアニメーションに『漫画映画』と呼べる作品は殆ど見当たらない。

3Dでは『漫画映画』は創れない。あくまで手描きの物であるべきだ。

『漫画映画』は死んだのか?

いや、死んで貰っては困る。

しかし、子供向けの良質の『漫画映画』を創る事はこれからはもっと困難になると思う。

それは宮崎駿自身が『スタジオジブリは今後立ち行かなくなる』と公言している様に。

それ以外の業界の実力有る人たちが、子供向けにアニメーションを創っていないのは非常に残念でならない。

荒唐無稽な設定を観る側にも看過出来るのが『漫画映画』の良い点なのに。動きには拘っても『血湧き肉躍る漫画映画』を創ろうと言う人は居ない。

自分もその一人かもしれないが、雑誌で『漫画映画』と普通に書かれる時代を待望している自分がいるのは確かなのだ。

簡単に言ってしまえば昔も今も『漫画映画』を創る事が難しいのは変わらないのかもしれない。

しかし、少なくともマンガ原作の映画を挿す『マンガ映画』という括りが一般的にならないことを切望します。