緊急事態宣言が明けて以降、東京都内の街の人出の様子を映し出すカメラに時々映り込む、特徴的なタクシーの姿。
ちょっと気になって調べてみると、トヨタが販売する新型のタクシーで、名称はJPN TAXI(ジャパンタクシー)、2017年10月23日に発売されたタクシー専用車両だそうです。
ロンドンタクシーを彷彿とさせるレトロなルックスですが、充電用USB端子やナノイー発生器、シートヒーターなど、日本の「おもてなしの心」を反映した便利なタクシーに仕上がっているとのこと。
2013年の東京モーターショーで初披露されたこのタクシー。
都内でこのタクシーが広く普及したのには、ワケがあります。
ハイトワゴンでスライドドアを採用、車内空間が広く、乗降性に優れ、車いすの利用者にも優しい設計。
これは1つには、「東京オリンピック」開催を考慮した助成金が寄与したと考えられます。
「健常者はもちろん、足腰の弱い高齢者や車いす利用者、ベビーカー利用の親子連れ、妊娠中の方など誰もが利用しやすい『みんなにやさしい新しい』タクシー車両」
そんな「ユニバーサルデザインタクシー」の導入に、東京都独自の補助金が設定されたため、通常より安価で新型タクシーを導入しやすくなっていたのだそうです。
グレードはベースモデルの「和(なごみ)」と上質な「匠(たくみ)」の2種類。
この車のデザインやコンセプトが気にいった個人が、マイカーとして購入することはできるの
と問われれば、答えは一応、イエス
価格は、和(なごみ): 3,277,800円、匠(たくみ):3,499,200円。
ただし、ネックとなるのはその燃料。
エンジンは1.5ℓが採用されていますが燃料はLPG。
LPG燃料は単価が安いうえ、NOxの排出量が少なく環境性能に優れた燃料なので自家用車としても好都合なような気がしますが…。
「燃料タンクに使用期限があり、メンテナンスコストがかかる」
というのが最大のネック。
LPG車は6年ごとに燃料タンクの検査を受ける義務があり、状態によって交換が必要となります。
タクシーとして利用した場合は、走行距離が桁違いに多いのでランニングコストをトータルで考えればメリットがあるものの、一般ユーザーにとっては逆に大きな出費。
また、LPガス容器は丸く大きいため、トランクルームの場所を大きくとってしまう、というデメリットも。
そういうった観点から一般ユーザーに普及することはほとんど見込めず、LPガスがあるスタンドも全国でわずかに1500ヶ所程度。
入手するのは不可能ではないけど現実的にはなかなか難しそう
この車のベースとなっているのはトヨタのシエンタだそうなので、どうしても欲しい方はシエンタに乗って妄想するという方法も