【僕を葬る】

「許せ...すまない」



癌であることを知らされた
とあるカメラマン ロマン31歳



愛する人に心ない暴言を吐き、
1人部屋に残された彼は
消え入りそうな声でそう呟いた



余命宣告の恐怖は徐々に大きくなり、



「子供は姉貴の所有物だ
そんなんだから、夫に逃げられるんだよ!」



周囲を傷つけ、独りになってゆく彼は
時々、幼き頃の自分の幻覚を見るようになる



誰にも助けを求められなかった
彼の不安が見せたであろう
“もう1人の自分”



いつも”彼”は笑っていた



ただ1人、
心の内を明かせた人がいた



「なぜ私に言ったの?」



それは、祖母だった



「僕に似てるから
もうすぐ死ぬ」



行き先もなく放浪するロマンだが
最後に出会った女性の思いがけない頼みが
死への恐怖を和らげる



_______日が暮れて、人の減った海岸
ゆっくりと打ち寄せるさざ波が穏やかだった



柔らかな光が
彼の笑みを優しく照らすのだった