去年、息子はサラリーマンになりたいと良く言っていた。

サラリーマンという言葉の響きに憧れたのか

それとも学校の教員がサラリーマンという言葉を用いて息子をコントロールしようとしたのかは分からない。

とにかく息子はサラリーマン最強と思っていた。

「あのさ、息子。サラリーマンになって何の仕事したい?」

勤め人に向いていない母ちゃんだが、一応聞いてみた。

「みんなと同じ事をするの!!」

ある意味模範解答だった。

今更だが、そこは息子のような子供が目指してはいけない危険地帯だ。

君が進むべき道はその道じゃない。

探せばもっと良さげな道はたくさんあるし。

サラリーマンへの道は、魚が砂利道をあるくようなものだ。

君は水中にある道を探した方がいい。

あと、障害物をいちいちバカ正直に乗り越えようとして挫折しないのは一部の人間だけだ。

自力でいろいろ乗り越えて成功して生き延びたやつだけを参考にしたらいかんぞ。

危険だ。ほとんどの人が命を落としている。

どうしてもサラリーマンになりたいなら忘れないでくれ。

サラリーマン道はダンジョンだ。

いきなり丸腰でダンジョンに入ってはならん。

最低限の装備とレベル上げは必須だ。

障害物はよけろ。くぐれ。

簡単なやつから乗り越えていったらいい。

いろんなことは、だんだん覚えていけばいい。

みんなが羨む仕事をしたいと考える必要はない。

自分に出来る仕事をしてみたらいい。

なんでもやってみたらいい。母ちゃんも気になる仕事はなんでもやってる。

君が生まれてから母ちゃんはそうするようになった。君のおかげで羽が生えてきた。

もしやりたいなら、10歳から働いたっていい。手伝うからさ。働きながら自分がやりたい仕事を見つけたらいい。

見つけたら、必要なら大学に行けばいい。学費はなんとかするから。

誰かに言われた事を将来の夢にするな。


息子に何度かそう話した。

「ぼく、サラリーマン無理」

数日後、息子が消去法で答えをだした。

「子供でも出来そうなお仕事、ぼく考えてみるね」

はい、おりこうさん!!