その6
生中継が終わり楽屋に戻ると、対談の最中、司会者の鋭いツッコミに助け舟を出してくれたタイガ -に、まだ、お礼を言ってはいない事に気付いた。
でも、まさか、あんなふうに言ってくれるなんて、嘘みたい。普通の女の子だ よって……。
カリ-ナとしての素顔を見てくれて いるんだ……。
いつも意地っぱりで言いたい事が言えずに後悔ばかりだけど、伝えたい事は、きちんと素直 に伝えなきゃ!!
よし!!今からタイガ-へ招待状を 渡しに行く。カリ-ナ、頑張るのよ 。
楽屋を出ると、隣にタイガ-&バ- ナビ-の部屋がある。
深呼吸をしてドアをノックすると、 タイガ-の声が聞こえた。
「あれ?ブルーロ-ズ? どうした? 珍しいな。まぁ、入れよ。」
「あの……、今、タイガ-、一人な の??」
「あぁ。さっき、バニ-に取材の呼 び出しがあって、そっちに行ってる 。何だ?バニ-に用事でもあったか ?!」
ちょっと、ズキンと来た。でも、こ こで怯んではダメだと強く思うと思わずムキになった。
「違う!!タイガ-に……。」
「オレに?!」
彼が戸惑うと、ブルーローズは怯みながら、不思議そうな顔をされたけど、逃げ ちゃダメ!!頑張って!!と必死に自 分を奮い立たせた。
後ろに隠してある手紙を緊張気味に、差し出す。
「あの……、さっきはインタビューで助けてくれてありがと。それと、これ……、ライヴの招 待状なの。絶対にタイガ-に来て欲 しいの。」
彼女の強い眼差しにタイガ -は何も言わずに真剣な顔で見返し た。
「私……、きっと、タイガ-の亡く なった奥さんの気持ちを伝えられる と思う。どうしても、伝えたいと思 ったから……。」
「友恵の気持ち?!」
半泣きで必死なブルーロ-ズに焦っていた。
でも、ふざけた気持ちで言ってるのではないと、真剣さは痛いくらいに伝わった。
優しく笑ったタイガ-は、涙目の彼 女の頭を撫でる。
「ありがとうな。ライヴに行くよ。 楓にも、招待状を送ってくれてたん だろ?あいつらにも。バニ-からも 必ず行くように言われてたしな。」
彼の笑顔に安心したブルーロ -ズは溢れる涙を止められなくなっ ていた。
上手く伝えられてない自分が歯痒く て、辛い。
でも、タイガ-の優しい言葉が嬉し かった。
「トゥワァイグァ-ッ!!!(タイ ガ-)」
彼の広い胸元に抱き着き、思いきり泣いた。
「何もそんなに泣かなくてもいいだ ろう?楓と一緒に行くよ。」
ずっと、彼女の頭を撫でながら、タ イガ-は楓に向けていた時と同じよ うな、優しい眼差しと笑顔だった。
楽屋のドアの前で、戻って来た バ-ナビ-が、二人の会話を聞き、フッと笑い、「良かったです ね。カリ-ナさん。」と呟いていた。
こうして、クリスマスを向かえ 、ライヴ当日となった。
ブルーロ-ズは控室で、鏡をじっく りと見ながら気合いを入れている。
とうとう、今日が来たんだわ。最後 まできちんと歌うのよ。タイガ-に 気持ちを伝えたいから。
「ブルーロ-ズ。調子はどう?」
突然、アニエスが入室。
「あ、お疲れ様です。」
「そうそう報告よ。先程、他のヒ-ロ -達と楓ちゃんが来たわ。特別席 に通しておいたわよ。」
ふふっと笑うアニエスを見て、ほん のりと赤くなってしまう。
「ありがとうございます。今日はよろしくお願いします。」
「ブルーロ-ズ。今日は一段とキレ イよ。気合いが入ってるわね。頑張 りなさい。」
にっこりと笑い、「ハイ。」と答えた。
雪のように透き通った肌に、キリッ とした顔立ちで、女王様キャラと普段はク-ルなイメージだが、今日はほんのりと優しさも備わっている。
虎徹への恋する気持ちが彼女を大人の女へと少しずつ成長させていた。
その7へ続く

