あれから一週間…整理できてきた部分とそうでない部分がありますが、文章考えず、思うままに書こうと思う。
書くことで少しは整理できる気もするので。
3月11日、月曜日。仕事終わりで、いつものように高速で八事日赤病院へ向かう。
正直、その日行くか迷ったが、胸騒ぎがして行くことにした。
病院へ向かう途中、兄からのLINE。
「今日から呼吸器つけとるから…もうあまりしゃべれない。」
嫌な予感は的中した。
一週間前くらいから、痩せこけた顔が更に痩せ、頬骨は完全に浮き出て、目がかなり陥没してきていた。
2日に一回は様子を見に行っていたが、それでも顔を見る度にぎょっとした。
話は出来ていたが、そろそろヤバイと思い土曜日に子供を連れて会わせたところだった。
病院の部屋を開けると、呼吸器を着けた母…
こちらが驚いてはいけないので、平静を装いいつも通り「おつかれー」と声をかける。
手で挨拶はしたが、呼吸が苦しそうで目もうつろ。
予想よりまずいなと思った。
すると、母は呼吸器を外し何か言っている。
声にならない声でテレビのリモコンを指さす。
いつも俺が病院に来ると「テレビ好きなのに替えていいよ」と言っていた。
今日も同じように言っているのだ。
そんなことどうでもいいのに…
適当にテレビを替える。
「しゃべらなくていいよ…」
母にそう言い、ソファに座る。
すると、看護師が来て母に声をかける。
そして、俺に
「今日泊まられますか?」と聞いてくる。
「いえ、仕事帰りに寄ったので帰るつもりですが…」
これはホントにヤバイかもと思い、兄に「今日泊まった方がいいかも…」とLINEする。
しばらくすると、看護師に廊下に呼ばれ「今日どなたか泊まられた方がいいかもしれません、意識も薄くなってきてるのでもしかしたら…」
ということで、兄に一度電話すると、兄が明日、明後日と休みなので、今から来るということになった。
母の元に戻り、心配そうに見ているとまた呼吸器を外し「ヒロナオ…」その後は聞き取れないが指で×を作っているので
「ヒロナオ、もう帰る?」
という意味だった。
正直こんな質問してくることは初めてで、いつもは「もう遅いから帰りな」と言っていた。
母も察していたのだろうか?
不安だったのだろうか?
すぐに「お兄が今から来るから大丈夫だよ!それまではいるから!」と伝えた。
そこから一時間ほど待って10時半過ぎに兄が来た。
すると母は「何でおるの?」と呼吸器越しに声を出した。
さっき伝えたが、伝わってなかったのか。意識が薄く忘れたのか。
兄が来て母は少し安心したと思う。
母が病気に関していつも頼りしていた兄、
兄も入院中は週に6日、ほぼ毎日顔を出していた。
ここからは長期戦になるかもと思い、今日は兄に任せ、俺は明日早めに店を閉め、明日の夜には兄と交代しようと予定を立てた。
明日になれば腹水を抜く処置をする予定だったので、腹水を抜ければ呼吸が楽になり、少し回復も、するだろうという期待もあった。
ただこの状況だとその処置も出来るかわからない状態だったが…
心配だったが、とりあえずここは兄に任せて帰ることにした。
母に「一回帰るからね!」と言うと、
母は俺の目を見て頷いた。
これが、俺が母と交わした最後のコミュニケーションになった…
つづく。