「脱官僚」を掲げた鳩山内閣は、普天間問題や八ッ場(やんば)ダムなど政策面でも行き詰まった。

 8日の記者会見で「官僚の皆さんの力を生かしたい」と軌道修正を図る姿勢も見せた新首相。霞が関の官僚たちは、これからどんな方針が示されるのか、注目している。

 「官僚の皆さんこそが、政策や色々な課題に取り組んできたプロフェッショナルであるわけですから、その知識と経験を生かしたい」

 菅首相はこの日の会見で、「官僚の皆さん」という言葉を繰り返し、その力も使って政策を進めることを強調した。

 「知恵、頭を使ってない。霞が関なんて成績が良かっただけで大バカだ」。政権交代直後の昨年10月、首相は民主党都連の会合で、官僚組織を痛烈に批判した。それから8か月で内閣を引き継ぐことになった首相の“変心”を、防衛省の幹部は、「これからは官僚の経験もうまく活用してほしい」と好意的に受け止めた。

 鳩山内閣は、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題で迷走を重ねたことが、退陣の引き金になった。この幹部は、理由として「普天間問題に長年取り組んできた外務省や防衛省の官僚を遠ざけたこと」を挙げ、「新内閣は我々を手足として有効に使い、最後に政治決断をすればいいのではないか」と話した。

 国土交通省でも、八ッ場ダムの建設中止方針に、建設予定地の住民が激しく反発し、今回、再任された前原国交相も解決策を示せずにいる。同省幹部は「政治主導で政策を掲げるのはいいが、これまでは、その政策が実現できていなかった。そこをしっかりしてほしい」と語った。

 薬害エイズ問題の資料公表を巡って、厚相時代の菅首相と激しく対立した厚生労働省では、当時を知る幹部が、この日の首相の言葉に「総理になって官僚との関係も冷静に考えているのではないか」と漏らした。

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