見物客が餌を与えすぎて「メタボ猿」とまで呼ばれた大浜公園(堺市堺区)のアカゲザルのうち数匹が、今度は激痩せしてしまった。担当獣医師らは症状から1匹は末期の糖尿病の可能性が強いとみる。

見物客の身勝手な餌やりによる幼少期の過食が原因とみられるが、有効な治療法はないという。

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 公園は堺市が管理し、5年前から大阪生物教材センター(堺市)が猿の飼育を委託されている。センターの東(あずま)四郎代表によると目に見えて痩せたり毛が抜けたりしているのは、全42匹のうち4匹いるという。

 
このうち、序列1位の雌の長男で推定13歳の雄「(通称)ボウシ」の痩せ方が激しい。雄猿の平均は10~11キロだが、ボウシは大柄のわりに推定9キロほどしかなく、一見してガリガリ。食欲はあるが足取りは遅く、覇気もない。

今年3月には、震えとけいれんを起こした。毛も抜けてみるみる元気がなくなった。子どもとみられる猿も同じ症状を起こした。

 
東さんが研究会の資料などを取り寄せて
糖尿病の猿を調べると、毛の抜け方などがボウシと酷似。担当の日高大介獣医師も過去の経緯と痩せ方など身体的特徴から、人間と同じような糖尿病の可能性が強いと指摘する。

 
大浜公園の猿はかつて見物客が大量の干しブドウやカリントウなどのお菓子を投げ入れ、残らず食べたことから、2007年の成獣の平均体重が標準の1・5倍の約15キロと激太りした。

「無制限に食べ物が与えられるのは虐待だ」との指摘もあり、市は外部の餌を遮断するための飼育舎を09年につくり、運動具も整備。同センターに委託し、ダイエットさせた。

 
いったん痩せたが、過食時代を経験した年配の雌猿は動き回らなくなり、今では当時より太った猿も少なくない。

一方、ボウシは強い母親の影響で、小さい時から客の投げ入れる食べ物を優先的に好きなだけ食べられる特異な環境で育ったこともあり、
糖尿病になった疑いがあるのではという。


 
日本モンキーセンター愛知県)によると、猿は捕まえるだけで血糖値が相当あがることもあり、正確なデータをとるのは難しい。それでも東さんらは近く、血糖値や尿を調べる予定だ。

 
ただ、
インスリン投与をするには隔離して個別管理する必要があるが、隔離すると猿に強いストレスがかかり、逆に体調を悪くする可能性がある。いまは、ストレスのかからないように見守っている。(村上潤治)

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 《猿などの研究から新たな治療法の開発に取り組んでいる医薬基盤・健康・栄養研究所の山海(さんかい)直・主任研究員(霊長類学)の話》 猿にも糖尿病はある。太っていても、末期になると激痩せするのも人間と同じ。遺伝も考えられるが、原因は食事の可能性が強い。日本の動物園では、餌を選別して量も管理し、運動できる環境もつくっているので発症しにくい。治療としてはインスリンの投与などがあるが、動物園で動いている猿をつかまえるのはとても困難だ。可愛いからといって見物客が餌を勝手に与えるのは絶対にやめるべきだ