以上が、悪業の順現報受業の典型である。


そもそも恩を受けたならば、それに報いるように心掛けるべきである。


逆に、他人に恩を施した時は、その報いを求めてはならない。


この話のように、恩ある人に逆に危害を加えようとすると、その悪業は必ず報いを受けるのである。


人は決して、この樵人のような心を起こしてはならない。



彼は、林の外で別れを告げるときは、


「どうしたら、この恩に報いたら良いのでしょうか?」


と言っておきながら、山の麓で猟師に会ったときは、肉の三分の二をよこせと、貪りの心を起こした。


まさに、貪欲に心が奪われて大恩あるものを殺してしまった。


在家でも出家でも、決してこのような恩知らずの心を起こしてはならない。



悪業力の働くところにより、両手が絶たれたのであるが、それは、刀剣によって

切るよりも速やかだったのである。

 

道元禅師はこのように、特に悪業の順現報受業の恐ろしさを、我々に示されたのである。