4月1日(土)は久々に東京オペラシティに行ってきました。

 

もう20周年なのか~。私が上京したばかりのころは、まだ出来立てホヤホヤ感がありました、そういえば。

演奏前の様子。ほぼ9割近く席は埋まっていました。

タイトルにもありますが、目的はこれです。
「がん患者さんが歌う 春の第九」
オケは日本フィルハーモニー交響楽団、指揮は山田和樹さんです。
ヤマカズさん、確か、私の3つくらい年上の方で、私が大学生のころは新進気鋭の若手指揮者、で絶賛売り出し中でした。
友人知人が所属するアマオケもたくさん振っていらっしゃるので、何気にライブ演奏を聞いた回数は相当多いと思います。
1月に日フィルのメルマガで案内が流れてきて、チケット即買いしてしまいました。

がん研主催なだけあって、ホワイエではこの写真のような展示がたくさん。

さて、今回の演奏は日フィル + がん患者さん、サバイバー、患者家族の方、医療従事者等の総勢145名の合唱、という編成でした。

 

第九はこれまで何度もライブで聞いたことはありましたが、今回の演奏ほど、思いが伝わってくる演奏はありませんでした。

 

がんの告知や手術、抗がん剤治療を経験したり、まさにその過程の中にあったり、人によっては余命宣告などを受けている方もいたのだと思います。
そういう状況にある人たちが、生の、生きている歓びを歌う歓喜の歌を懸命に歌う・・・。がんを罹患したものとして、様々な感情があふれてきました。

 

自分自身も経験した、告知や手術の後に、これまでと同じように生きられないことを思い知らされ、自分はどうするべきか、何ができるのか悩んだ日々。
そんな苦悩の中で、10ヶ月もの期間に渡る練習に打ち込み、このステージを成功させたみなさんの姿に本当に心打たれました。

 

また、私は趣味でオーケストラ活動を行っているので、オケの人の気持ちもわかる部分があり、一楽器奏者としての感情もこみあげてきて、70分近い演奏時間、ずっと胸がいっぱいでした。
 

自分がこの演奏会でオケで演奏していたらちゃんと演奏できたんだろうか、と考えながらも聞いていましたが、答えは出ませんでした。

 

どんなに強い想いがあっても、ひとたびステージに乗って演奏が始まってしまえば、奏者が出来るのは楽譜と指揮者に忠実に演奏すること、しかありません。
そしてそれを着実にこなすのがどんなに難しいことか…。ましてや、オーケストラは一人で出来ることではないので、多くの人が思いを一つにして、演奏を仕上げていかないといけません。

 

そして土曜日の第九の日フィルの演奏は、がん患者さんの想いに応えた、誠意が籠った演奏のように感じました。
 

終演後のなりやまない拍手とたくさんのブラボーがそれを物語っていたのだと思います。

 

ちなみに私は第一楽章が始まってすぐの、弦楽器と木管がユニゾンになるところで早くも涙腺崩壊しかけましたが、この演奏はちゃんと見て、聞いて、記憶に焼き付けないといけないと思ったので、最後までちゃんと聞きました。
 

(といいつつ、合唱が始まったら号泣、最後の数分はずっと咽び泣く状態だったのですが)

 

ということで音楽の持つ力を感じた一日でした。
第九の演奏会後に向かった、自分の所属オケの練習もこの日は満足のいく出来でした。