衆院選で敗北
日本共産党の存在感が低下している。昨年の衆院選での与党大敗には、いわゆる裏金問題が大きく影響を与えたとされる。この問題を最初に報じたのは「しんぶん赤旗」だった。共産党は自らの機関紙の「功績」をアピールして選挙戦にのぞんだが、結果は8あった議席を6に減らし、得票数も30万票ほど減らしている。
いま「103万円の壁」など、生活苦の国民をどう支援するかが論争になっている。注目されているのは予算成立のキャスティングボートを握る国民民主党や日本維新の会。社会的弱者救済を政策の柱とする共産党は、蚊帳の外に置かれている。
党幹部は衆院選の敗因分析に力を入れただろう。志位和夫氏や田村智子氏らがどう分析したかは不明だが、同党の「体質」が大きく影響しているのではないか。
昨年、世間、マスコミを賑わした政界の話題は何といっても、事実上、首相を選ぶ自民党総裁選だった。
石破茂氏と高市早苗氏の両雄が決戦投票で対決。旧安部派と石破氏の確執や同党内のリベラル対保守という構図が分かりやすく、国民も大いに盛り上がった。自民党には、この勢いで一気に総選挙へ、という声も多かった。
不透明な「党首選」
一方、共産党も昨年、党首(同党では中央委員会幹部会委員長と呼ぶ)選を行っていた。1月に田村氏が初の女性党首に就任。その選考プロセスは、まず党大会で中央委員会委員を選出し、中央委員会委員が幹部会委員を選ぶ。
次に幹部会委員が常任幹部会委員を選び、第三者には話し合いなのか何なのか分からないが、その中から幹部会の委員長、つまり党首を決めてしまうというものだ。
極めて複雑。透明性にも欠けている。結局、裏で実力者がコソコソと決めているのでは、といぶかってしまう。やはり「共産党」のためか。すると、長老やら実力者やらが密室でリーダーを選ぶ中国共産党や、旧ソ連共産党の指導者選出と、どうしてもダブって見える。
一昨年には、党首公選選など改革を唱えた元党員の松竹伸幸氏が新聞あかはたで批判され、党を除名されている。松竹氏は一橋大で社会正義に目覚め、銀行・商社などへの就職を蹴って党職員となった人物。50年近く党勢拡大に力を尽くした党員をポイと切り捨てる姿勢は、スターリンや毛沢東の粛清を連想させる。怖さを覚える人も少なくないはずだ。
「アルマジロ政党」の行く末は
筆者は、近所に共産党系とされる医療機関があり、家族が世話になっていたこともあって、共産党員、中でもしんぶん赤旗の配達や集金を行う「末端」の党員の人たちと接点がある。その正義感、熱心さには感じ入るところがあるが、政治・社会問題に対する金太郎アメ的な思考には正直、うんざりする。
共産党が国民の幸福追求に役割を果たしてきたか、いま果たしているか、これから果たしていくか――。答えは風に舞っているようだが、アルマジロのような極度の自己防衛的体質を改めない限り、党勢の衰退は避けられないだろう。