初めて会ったキミは
鬼のようだった
硬い毛は、天に向かって 高く伸び
しっぽは 腫れているかと思うくらい太かった
バイパスすぐ近く
車が飛び交うすぐそばで
僕は用事を投げ出し キミを迎えに行った
車内にこもる ヒドイニオイ
用事先には謝罪を入れて
窓を全開、深沢動物病院に直行したよ
チップも何も無かったけど
元気があったね
すぐさま トリマー、シュクレシアン
あなたは、こんな子しかうちに連れてこない
しかし笑顔でやってくれました
たった一人に
半日かかったよ
でもそれでもシャンプーまではできず
次の日地元のトリマー行ったよ
すっかりキレイキレイになったけど
心配なのは 先住犬
まずはゲージ通してご対面
みんな興味津々 すぐ仲良くなったよ
仕事から帰ると、いつも一番に飛びついてくれたね
夜は、所在なさげにいたね
そしていつも僕の膝にのりたがってたね
ふとんを敷くと 真っ先に僕の顔の横を陣取っていたね
ふとんを片付けるときも
なかなかおりてくれなくて
今思えば、そこが、君の部屋だったのに
気づかないで 片付けてしまっていたね
キミはまだ少し匂っていたけど
その頃の僕は一番キミを愛していた
他の子を差し置いて
いつも一番になで、抱き上げ、御飯をあげた
それが最悪の結果になるとはつゆとも知らず
雨の日だった
その日は僕の父のお葬式
そう、父はついこないだ急死したのだ
遠い場所だった
雨の日のバイクは 滑るし 前があまり見えなくなる
そう思い レンタカー
ああ、根性だしてバイクで行けば
帰りはヒドイ渋滞
バイクなら一時間くらいなところを
3、4時間はかかってしまった
しかもレンタカーだから返すにも時間が必要で
ああ、バイクで行けば
帰ってきたら
あれ、いつもより静かだな
いつもはワンキャンワンキャン大騒ぎ
まさか、とドアを開けてみれば
ああ
ああ
ああ
ベスが舌を出して倒れてる
何度も呼んだ
ベス、ベス、ベス!
ベス、ベス、ベス、ベス。。。
いつも一番に、僕に飛びついてきたその身体は
すでに冷たく 手足は硬直していた
どれくらい時間がたっただろう
突然のこと、予想外のことで
ただただ
先住犬に虐められ、悶絶してしまったのはわかった
キレイなタオルで包み 家にある一番キレイなハコに入れた
部屋は彼の毛が散乱していた
でも 先住犬たちに咬み傷は一つもない
優しいあの子は、反撃せず、一方的にヤられてしまったのだ
次の日、ペット霊園で葬儀をしてもらった
涙が、涙があふれて止まらない
嗚咽をもらし、みっともない顔で
祈りを捧げた
虹の橋で待ってておくれ
ごめん、ごめん、ごめん、本当にごめんよ
この時ほど、自分にタイムリープやリバイバルの能力が欲しいと思ったことはない
自分の愚かさと読みの甘さに嫌気がさす
死ねばあの子に会えると、無謀な運転もした
ああ
帰って、あの子の名前を呼ぶ
みんな不思議そうな顔で僕をみる
それでも名前を呼ぶ
ああ ベス
ううう、ベス、ベス、ベス
本当に、本当にごめんなぁ
虹の橋で待っててな
そうは、待たせないから