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Betchyのブログ

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親友の結婚式。披露宴会場から二次会の会場までは歩いて行きました。銀座の街中を、花嫁はウエディングドレスで歩いていきます。わたしは彼女の裾を持って、付き添っていました。


日曜日の夕暮れ前です。通行人の方々がこちらを見ます。ドキドキします。花嫁も緊張しているようでした。ここが欧米なら、周りの人たちも口笛を吹くとかして盛り上げてくれるでしょうに、ここ銀座の人たちのリアクションはパッとしません。


せっかくだからウェディングドレスを着たままで銀座の街を歩こうよと言い出したのは私でした。大好きな親友の晴れ姿なのです。なにを遠慮することがありましょうか。彼女は背が高く、色黒で健康的な美人さんです。純白のドレスを着ると不思議な艶やかさがありました。この花嫁のすがたを道行く人たちに見てもらいたかったのです。この美しさを一緒に喜びたかったのです。きっとみんなの顔がほころんで、祝福してくれるものと思っていました。


しかし、街を歩くうちに、だんだん自信がなくなっていきました。わたしは披露宴で浮かれすぎていたのでしょうか。銀座の町は思いのほか冷淡な気がしました。そこはいつもの日常でした。わたしは、淡々と歩を進める親友の背中を申し訳ない気持ちで見つめていました。一番恥ずかしいのは彼女に違いないのです。


そんなときに、あるカフェのオープンテラスから、「いいねえ~!」という明るい声が飛んできました。わたしはハッとして振り返りました。少し年上の男性がニコニコしてこちらを見ています。くつろいだ姿勢で、ビールを片手に持っていました。この趣向を、私の提案を、さっと理解して好感を示してくれたのだと思いました。わたしはほっとして、嬉しくて、その人の顔をじっと見つめてしまいました。花嫁の後姿を目で追っていた男性も、ついにはわたしの視線に気づいたらしく、目が合いました。その目は「ん?どうしたの?」といっているようでした。


わたしは嬉しくなって、急に元気が涌いてきました。あんなふうに自然に楽しんでくれる人がいるんだ。


あとで聞いたら、花嫁はやはりとても緊張していたそうで、あの「いいねえ~!」も聞こえてなかったそうです。なんてもったいないんでしょう。わたしは今もあの声を忘れることができません。たった一言でしたが、なにかしみじみと女性の美しさに見惚れているような感嘆と、花嫁の幸せを祈ってくれる優しさを、わたしはその一言に感じたのです。


その男性とはそれっきりでしたので言葉を交わすこともできませんでしたが、ありがとうと言いたいです。それは本当に一瞬の出来事でしたが、温かい、特別な思い出になっているのです。