東証 大発会で9000円台回復も、先行き不透明
1月5日20時45分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090105-00000024-maip-brf


日経平均株価9100円台を示す株価ボード=東京都中央区の東京証券取引所で2009年1月5日午前9時18分、長谷川直亮撮影

 今年最初の取引「大発会」を迎えた5日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は前年末比183円56銭高の9043円12銭をつけ、約2カ月ぶりに9000円台を回復した。世界的な金融危機の影響を受けた08年は、年間下落率が42.12%と戦後最大を記録しただけに、大発会での株価上昇に市場関係者からは安堵(あんど)が広がった。しかし、「世界景気の後退と企業業績の悪化は今後も続く」(証券アナリスト)との見方も多く、株価低迷が長期化する懸念はぬぐえない。

 「閉塞(へいそく)感に浸っていたのでは現状を切り開く力は生まれてこない」。東京証券取引所の斉藤惇社長は大発会で、株価低迷に沈む現状の打破を訴えた。だが、大和総研が08、09年度の企業業績を16年ぶりになる2年連続の減収減益と予想するなど、反転の兆しは見えていない。市場では「年前半に日経平均は6500円まで下落する」(三菱UFJ証券の藤戸則弘氏)との指摘も出ている。

 株式市場に重くのしかかっているのが、世界的な景気減速。輸出依存度が高い日本経済にとって、世界景気の回復は株価上昇の前提条件だが、金融危機の震源地である米国経済は、米自動車大手3社(ビッグ3)再建問題や雇用環境の悪化など、難題に直面したままだ。

 外国為替市場も波乱含みで推移している。5日の東京市場では一時、前年末午後5時比1円91銭円安・ドル高の1ドル=92円17銭をつけた。だが、「米国が大型の景気対策を実行すれば、米財政赤字が拡大し、ドル売りにつながるのでは」など、円高に対する市場の警戒感は強い。市場関係者の間では、1ドル=80~100円程度の値動きとの予想が多いが、80円を突破するとの見方もあり、国内の輸出型企業の業績が急激な円高でさらに悪化すれば、一段の株安を引き起こすことになる。

 国内政治の混乱や原油価格の変動もリスク要因だ。5日開会した通常国会で、景気対策を掲げた第2次補正予算案の成立が遅れるなど、麻生政権の迷走ぶりが露呈されれば、日本株売りにつながりかねない。昨年夏をピークに下落傾向が続いている原油価格も、イスラエルのガザ侵攻など中東情勢が緊迫する中、再び上昇に転じる恐れがあり、日本企業が「景気後退下の原材料高」という最悪の状況に追い込まれる可能性もある。

 一方、株価反転の材料と期待されているのが、今月発足する米オバマ次期政権をはじめ、各国が打ち出している景気対策だ。野村証券金融経済研究所によると、日本、米国、EU(欧州連合)、中国の景気対策は、日本の国内総生産(GDP)を年2.2%押し上げる効果があるという。「年後半にかけて各国の景気対策の効果が出始める」(日興コーディアル証券の西広市氏)ようであれば、日経平均が12月ごろに1万2000円台まで回復する可能性もある。【野原大輔、大場伸也】