初めまして精神科と身体科の経験のある現役10年目看護師のtepoと申します。

 

このブログでは、私が特定の疾患を持つ患者様と関わりを持って感じたことを、同じ看護師や他職種、患者様本人やそのご家族等へ伝えられたら良いと思っています(困難・苦労等)。

 

実際に疾患を持つ患者様自身と関わることで、机上の学びだけではわからないことについて特に焦点を当てて書き記します。

教科書では感じられない現実的な問題等を伝えられればと考えています。

 

第1回目のテーマは

 

「認知症」

 

とさせていただきます。

 

認知症と一括りにしても、「アルツハイマー型」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」等の種類があります。

 

代表的な「認知症」は上記の4種類です。

 

認知症の種類ごとの割合は、アルツハイマー型認知症が最も多く67.6%、次いで血管性認知症が19.5%、レビー小体型認知症が4.3%、前頭側頭葉変性症が1%、その他の認知症が7.6%と言われています。

 

今回はもっとも割合が高い「アルツハイマー型」の認知症の患者様との関わりについて書き記させていただきます。

 

精神科および身体科において「アルツハイマー型認知症」の患者様は数多く入院されており、その理由としまして

 

精神科では、認知症そのものについて薬物治療されている場合が多いです。

 

身体科では、骨折や肺炎等の主な疾患により入院が必要となった認知症の方がいらっしゃる場合が多いです。つまり合併症または既往歴と言われる形の認知症患者様の方がいらっしゃいます。

 

まず簡単に「アルツハイマー型認知症」について概要を書き記させていただくと、

 

①記憶の維持が困難

②日常生活の動作が困難(服を着れない等)

 

となります。

より詳細に病態や症状について記載しだすと、実際に看護・介護する立場から感じたことを記載するこのブログの目的から逸れてしまうため、ここではとても簡単に概要を書かせていただきます。

 

実際に「認知症」を持つ患者様の看護・介護をしていますと、まだ病院では軽度(言葉のキャッチボールができる、身体的には車椅子に乗れる程度)と言える患者様だと、ナースコールをとんでもなく頻回に押してしまう方が多くいらっしゃいます

 

ここで表現したとんでもない回数とは、起きてるときは5分や10分に1回程のペースでナースコールを押されます。

 

呼ぶ内容は多岐にわたり、「ご飯が来ない」「物が盗られた」「ここはどこなのか」「今何時なのか」「家族にここにいることを伝えてほしい」「夕食の買い物に行かなければいけいない」etc...

 

これらのやりとりを患者が起きている限り、訪室して永延と繰り返さなければいけません。

 

賢明な方なら、なぜ訪室する必要があるのか?疑問に思う方もいらっしゃると思います。

 

ナースコールの受話器等を取って話せば済む話なのではないか、と考える方も多いと思います。

 

しかし、認知症患者様の多くは耳の遠い方が多いことや、対面で話さないと満足できないのか、こちらが話しかけても反応がないことが多くあります。

 

また、看護師の事情として、ナースコールがあり受話器だけで対応していると看護師長等に注意される場合があります。

なぜ注意されるのかと言うと、寄り添った看護をしていないと思われている可能性が高いです。

 

看護師長(以下師長)は、病棟のベットコントロール等の病棟管理が主な仕事であり、患者の個別性についてはよく理解できていないことが多いです。

そのため、対応している看護師が真面目に患者対応していないと思うのか、訪室しないと心象が悪くなります。

 

なので、その5分か10分おきのナースコールのたびに訪室しなければいけなくなり、他の患者のケアになかなか行けなくなってしまいます。

 

師長に事情を説明しても、師長は気の強い年配の女性が多く、「歯向かわれた」「ケンカを売られた」と考えてしまうのか、建設的で現実的な話ではなく、そのナースコール対応をしながら他の対応ができないのはその看護師の能力不足だと反応されることが多いです。

 

不本意ながら患者様をナースコールを押さなくてもいいように、車椅子等に離床させますが一人で立ち上がり転倒する危険性が高い状況となります。

 

拘束をしたいのですが、拘束をすると施設等が原則拘束禁止であるため退院先の選択肢が狭まるので拘束はなるべくするな、と師長等から言われてしまいます。

 

そして、そのナースコール対応をしているため、他の患者様からは「ナースコールを押しているのに看護師が来ない」とクレームをいただくことになります。

 

このように上記で記させていただいた、ここでいう「軽度の認知症」患者様の看護・介護をすることは非常に困難や苦労を感じることが多いです。

 

意外にも「重度の認知症」の患者様の方が看護・介護は楽になります。

 

認知症は進行すると活動性が低下していき、下肢筋力の低下から歩けばくなり、最終的には「食べること」すら忘れてしまいます。

 

食べることを忘れる?と疑問に思われる方もいると思います。

 

これは脳の萎縮から文字通り「食事をする」という動作そのものを忘れ、口元に食事を運んでも食べようとしません。

また高齢に伴い飲み込む力が弱くなることも数多くあります。

 

 

そして、認知症の最後は寝たきりとなるのです。

 

 

そうなりましたら鼻から管をいれたり、おなかに穴をあけ直接胃に管を入れたり(胃ろうと言います)して栄養食を注入します。

 

そうして、見守りのない状況で一人で歩行し転倒する危険性もなくなり、言うまでもなくナースコールを押すこともなくなります。

 

医師や看護師、そして家族が必要と考えるケアを提供することとなります。

 

そのころには、5分や10分に一回の訪室はなくなるため、結果として認知症が進んでしまったら看護・介護の負担は低くなる現実があります。

 

患者様の病気を良くしたいと思っている看護師にとっては、複雑な心境を感じざる得ません。

 

机上で「認知症」について学んでいると、この現実には気付くことができないですが、認知症は看護・介護する側もとても辛いと考えられます。

 

以上で第1回「認知症」については結びとさせていただきます。

 

至らない文章であり、誤解を生む表現がありましたら申し訳ございません。

読んでいただいきありがとうございました。