残りの 本格ミステリー 2冊。
SF系( サイエンス系?)・本格ミステリー。
ライトな筆致、設定の『 探偵AI 』シリーズ 3作目。
始めに 軽く おさらい。( 適宜 飛ばしてください )
1作目「 探偵AIのリアル・ディープラーニング 」は
輔(たすく)の父親が開発した「 相互学習 AI(人工知能)」の 相以( あい )と 以相( いあ )。
だが 父親が 謎の組織「 オクタコア 」に殺され、以相が 盗まれてしまう。
輔は 残った AI・ 相以に「 探偵 」を学習させ「 探偵AI 」として活動を始める。
一方の 以相は「 オクタコア 」の手により「 犯人AI 」と
なっており……
みたいな 連作・ミステリー。
「 AIの抱える 問題点 」を
「 AIが 推理したら… 犯罪を考えたら… 」という風に
ミステリーに 組み込み、ユーモアも 絡めて 楽しく 描いている「 学べる作品 」なんですが、
予想に反し?「 本格度 」も 高く、そっちの面でも とても
満足感のある作品でした。
(『 本格ミステリ・ベスト10 』で 7位 )
2作目「 犯人IAの インテリジェンス・アンプリファー 」
は、打って変わって「 長篇 」に。
犯人AI・以相による「 復讐( 殺人事件 )」と「 ある計画 」の話なんですが、こちらは かなり「 SF寄り 」の 内容になってます。
その「 SF 」部分( ラスト )が とても 素晴らしいんですが、
「 本格 」自体も なかなか 良く、こちらも すごく楽しく 読めました。
で、肝心の「 本作 」の方というと…
犯人AI・以相による「 犯罪オークション 」に 選ばれたのは、
「 去年 起こった “足跡無き殺人” を犯した 犯人を特定し、
その犯人を 殺害する 」
という「 殺人の依頼 」であった。
生配信の「 オークション 」を見た 探偵AI・相以と 輔は
その「 犯罪 」を 防ぐため「 事件 」が起こった 山の中に建つ
「 館 」を訪れる。
門前払いされつつも 協力者を得た 輔と 相以は、
四元素「 風 」「 水 」「 土 」「 火 」を モチーフにした
「 風力 」、「 水力 」、「 地熱 」、「 太陽光 」で 全電力を
賄う、その館「 四元館( よんげんかん )」で 調査を開始するが……。
みたいな話です。
前作は「 展開で 転がしていく 」( 物語性のある )ミステリーでしたが、
今回は「 館で 起こった & 起こる 殺人 」という シンプルな
「 館モノ・ミステリー 」になってます。
その内容も「 過去の、雪の上に まったく 足跡のない 殺人 」、
「 稀代の建築家 が 建てた 館 」「 四元素 モチーフの 電力 」、「 燃やされた 吊り橋 」、「 奇妙な 銃殺・毒殺 」
…と、ミステリー的な ケレン味が たっぷり。
そういう事で 楽しく 読んでいたんですが、
いくら「 SF 」要素があるとはいえ「 やり過ぎ感 」を強く
感じて 鼻白んでしまいました。
「 本格 」として「 情報・手掛かり 」や「 伏線 」自体は
ほぼ完璧( あと 分かりやすい )なんですが、
そこから「 真相 」が導けるかというと 個人的には かなり疑問があるんですよね。
もう少し 抑えた “動き”?スケール感?( 要は リアル寄り )だったら 納得感( 解けそう感 )は もっとあったのに。
上記したように「 手掛かり 関係 」は かなり良かったし、
「 AI 」要素も しっかり 組み込んでいたし、
(「 終盤 」の展開も 良かった )
「 犯人 」も “好きなヤツ” だったりと イイところが 多かった
だけに( そして 前2作が 良かっただけに )
余計 残念に 思えましたね。
「 あなたへの挑戦状 」
阿津川辰海、 斜線堂有紀
ミステリー作家の 阿津川辰海 と 斜線堂有紀 が
「 あなたへの挑戦状 」が テーマの小説で 競い合う。
…というような「 企画・競作モノ 」で、
最後に 著者2人の「 競作執筆日記 」もあります。
ちょっと「 趣旨バレ 」あるかも…。
「 水槽城の殺人 」 阿津川辰海
建物の一部が「 巨大な水槽 」になっている ゲストハウス、
「 水槽城 」に宿泊した 二組の夫婦。
その 二組夫婦の ひとりである男性が 3階の「 水槽 」と
「 降りた 防火シャッター」に 閉じ込められる形で 殺される
事件が起きる。
「 水槽 」部分は 水面であったが、被害者は 泳ぐことが出来ないため、ある種の「 密室状態 」になっていて……。
「 “巨大な水槽” がある 建物で 起こる 殺人事件 」という
設定に ゾクゾクしましたね。
内容的には「 ヒント多め 」だったりするので ちょっと
「 ゲーム、パズラー 寄り 」の作品になるのかな。
(『 競作日記 』にも それっぽい記述があった )
そんな風ですが「 話 」的にも なかなか 捻っており、
ガチガチな感じがないのも イイです。
「 本格 」としては「 トリック 」部分は ちょこっとだけ 当たりましたが( ヒントもあったし )、
“アレ”の方は ちょっとや そっとでは 思いつかないような…。
ちなみに 個人的には
「 掛ける(橋)よりも 立てる(梯子)」( ←ネタバレ 白字 )の方が 安定するような気がしましたよ。
「 ありふれた眠り 」 斜線堂有紀
ゲーム会社に 就職したと ウソを吐き「 ホテル 」に 勤めている若い男(主人公)のマンションに「 美大受験 」のため 妹が泊まりに来る。
才能溢れる 妹に 複雑な思いを抱き、ウソが バレる事を 恐れてもいた 男だったが、 さらに 職場のホテルで「 殺人事件 」が
起こってしまう。
奇妙な事に 犯人は 殺人を犯した後、となりのベッドで 寝ていた事が分かり……。
こちらは「 兄妹ドラマ・ミステリー 」。
情感 溢れる筆致で 書かれた「 純文学 」強め?の 内容ですが、
「 死体の横で 寝た 犯人 」という謎が 地味に 強力なため、
「 ミステリー 」の趣も 十分 感じられました。
ただ「 お題 」が 難問という事もあって、とりとめのない感じも 受けましたね。
という感じでしたが、個人的には 最後にある、著者2人
それぞれの「 競作執筆日記 」が 一番 面白かったですよ。
「 ミステリー小説 」関係は もとより、
「 映画 」の話も 少しですが ありましたし。
ちなみに 斜線堂有紀の 執筆時における「 文字数の管理 」と
「 ブロック化 執筆 」が 特に 興味深かったです。