まずは 関係ない作品から。
香港の「 雨傘革命 」を 支持したため “干された”、
俳優の アンソニー・ウォン。
その彼が ほぼ ノーギャラ で出演した、
半身不随の男 と、夢を諦めた フィリピン人家政婦の女性、
2人の交流を描いた 人間ドラマ『 淪落の人 』(18年)。
内容は ベタだけど、アンソニー・ウォンの「 照れ隠し 」、
「 素っ気ない 」、「 優しい 」など いろいろな演技が 堪能
できる作品。
個人的には 家政婦仲間の演技も 良かったですね。
ジャスティン・カーゼル 監督の「 犯罪実話モノ 」、
『 スノータウン 』(11年)は、
主人公・少年の母親の、新しい恋人が「 小児性愛者 」や
「 同性愛者 」を 殺害していく……という、
オーストラリアで 90年台に 実際にあった「 連続 殺人事件 」の話。
序盤から「 主人公・少年への 性的虐待 」と なかなかエグい
展開。
( しかも 犯人は 向かいの家の男で、すぐ 釈放 )
オーストラリアの「 乾いた大地 」と相まって 心が 一気に
ささくれました。
「 子供への 性的虐待、及び 殺害 」と聞くと 少女の被害が
多そうな印象ですが、
少年が 被害に遭う場合も 意外と 多いんですよね。
( というのは 昨今の あの話題からも わかると思う )
リーダー格の 犯人、ジョン(・バンディング )自身も
「 子供の頃に 被害に遭って 」おり、
それが「 暴力( 残酷性 ) と 憎悪 」の源になっているなど、
根が深い背景が 感じられ 思った以上に 気が滅入る作品でした。
あ、オージーらしい「 カンガルーの死体を切断する 」場面が
あるので ダメな人は 注意。
同じく、
カーゼル 監督の「1996年に起こった 銃乱射事件 」を描いた「 実話モノ 」、『 ニトラム / NITRAM 』(21年)。
主人公・ニトラム 役は ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。
これは ニトラムの「 後先・リスクを 考えない 」、
「 自己中心的 」な( あと、共感性のない )危うい言動が
やるせななくも 怖い 作品。
「 車の試乗 」の場面は いい加減にしてくれよ…であったな。
おそらく「 多動性障害 」みたいなモノなんだとは 理解できるんだけど、こちらの 心身が 疲弊する事には 変わりないんですよね。
ニトラムが「 銃乱射 事件 」を起こすまでの背景や、
( 孤独や 疎外感の 影響が大きそう )
オーストラリアの「 銃の扱い 」も 興味深かったし、
ケイレヴ の演技も 素晴らしかったけど こちらも 心が荒む内容でした。
とりあえず カーゼル 2作品は「 実話犯罪モノ 」好きとして
観れて 良かったですよ。
ここから 本題。
『 TITANE / チタン 』
(仏・ベルギー /2021)
サスペンス・ホラー。
思っていたのとは かなり 違ったけど、
「 寓話・サスペンス&ドラマ 」として 面白く観れたかな。
てっきり「 殺人 」を絡めながら 進んでいくのかと 思って
いたら、中盤以降から「 逃走( 潜伏 )」の話になるとはね。
しかも「 車との子を 妊娠 」や、
疑似父親・ヴァンサンの「 現実 逃避 」の話もあったりと、
様々な要素が 内包されていて、いろいろと「 深掘り 」できそうな 内容でしたね。
〔『 TITANE チタン 』 タイトル。
以外にも デザインは「 金属 」っぽいものではなく、
「 脳レントゲン 」〕
個人的に 強く 興味を覚えたのが
事故により「 頭蓋骨に チタンプレート が埋め込まれている 」
主人公・アレクシア の「 車への 愛( 性愛 )」。
「 車 と 性( の快楽、興奮 )」といえば クローネンバーグの
『 クラッシュ 』(96年)が 思い出されますが、
『 クラッシュ 』の方は
「 車の事故による 死や 痛みの 恐怖( =興奮 )が
性的な高揚、興奮と 繋がる 」
という「 シチュエーション( 状況 )」として
「 車( の事故 )」が機能していましたが、
『 チタン 』の方は「 愛する対象が 車 」、いわゆる
「 対物性愛 」( “物”に 性的に惹かれる )となっていて、
実際のところ 根本は まるっきり 違ってましたね。
ざっくりとした 方向性として 見ても
「 シチュエーション 」と「 フェティシズム( フェチ )」※
ですし。
どちらかと言えば『 クリスティーン 』(83年)の方が 近い
のかな?
〔 ※「 フェチ 」
前にも 書いた気がするが、
今は フツーに「 体・部位に 関する モノ 」に「 フェチ 」を 使っているが 本来は「 物 」( 靴 とか )に 使っていた。
さらに 遡れば もともとは「 物神・呪物 」であるらしい 〕
その話とは…
「 小児性愛 」の傾向のある男の「 脳 」を調べると「 腫瘍 」が見つかる。
その「 腫瘍 」を取り除くと 男の「 小児性愛 」の傾向はなくなったが、しばらくすると その男に 再び「 小児性愛 」の傾向が表れ始める。
再度「 脳 」を調べると「 腫瘍 」が見つかり…
というもの。
どうやら「 脳に出来た 腫瘍 」の影響により 極めて稀に?
「 性の対象 」が 変わる事があるっぽいんですよ。
(「 性格 」が 変わったってのは よく聞く )
なので「 脳への 何らかの影響により 性の対象が変化 」する
設定自体は 必ずしも 突飛な考えでは ないのかも しれません。
〔『 TITANE チタン 』 冒頭、少女・アレクシア。
ちなみに 始まりは「 車のエンジン 」〕
あと、冒頭の 少女・アレクシア が
「 車と 自分を重ねていた 」っぽい事※を 鑑みれば、
この後の「 車を 愛する 」展開の 説得力も 結構 出てくるんですよね。
( ※「 車と 自分を重ねる 」
いわゆる「 ごっこ遊び 」だったが、運転手ではなく、
「 車そのもの 」になっていた…ように感じた )
〔『 TITANE チタン 』
開頭手術。「 治療行為 」なので「 残酷 」ではない 〕
ここ、「 チタンプレート 」の 自由度のある「 ネジ穴の位置 」に 感動しましたね。
やたら リアルだったけど 本物じゃないよな。
( どっちでも いいけど )
〔『 TITANE チタン 』 術後の 少女・ アレクシア 〕
ずっと 父親を にらんでいた…。
その後も 会話してなかったし、焼き殺そうともしてたんで
父親を「 キライ、恨んでいた 」んでしょう。
〔『 TITANE チタン 』 少女・アレクシアの
「 ユニコーン Tシャツ 」&「 車、超好き( チュ )」〕
ちなみに、シートベルトで はっきりとは 見えませんが
「 冒頭 」(車内)でも アレクシアは「 ユニコーン Tシャツ 」を 着てるんですよね。
てっきり「 “変”愛 」( 車への偏愛 )の話だと 思っていたんだけど、その要素は 意外と 少なく、そこらへんも 少し残念。
〔『 TITANE チタン 』
「 タイトル 」後の アレクシア側頭部 〕
ちなみに この後の「 アレクシアが 歩く ~ ダンス 終了 」まで
「 3分20秒 」くらいの「 長回し 」( 1カット )。
後半、いきなり「 ダンス 」していたから「 疑似1カット 」だったかもしれませんが。
〔『 TITANE チタン 』 アレクシアの「 車絡みの ダンス 」〕
ここ、なんか『 悪の法則 』※での キャメロン・ディアス の
「 ボンネットの上での アレ 」場面を 思い出しましたよ。
〔 ※『 悪の法則 』(13年) リドリー・スコット 監督。
「 ボンネットの アレ 」とか「 ブラピの アレ」とか 予想外の
名場面がある 作品。 「 オチ 」も 最悪で 最高 〕
〔『 TITANE チタン 』
『 ブラック・エンジェルズ 』を 思い出す、ファン殺害 〕
アレクシアの持つ「 金属の棒 」( かんざし )は、この後の
展開を考えれば ベタに「 男性器メタファー 」で いいのかな。
刺した場所は「 耳の穴 」だったし。
個人的には さらに
「 金属の男性器 」=「 人と 性行為できない 」の意味を
感じましたね。
あと、ココや その後の「 性 と 殺人衝動 」の関係性については
「 性的不能 」や「 異常快楽 」系の 殺人者を 想起しましたよ。
ちなみに「 脳腫瘍 」や「 認知症 」の影響で「 暴力的 」※に
なったりも するので、こちらも そんなに 奇抜な設定じゃないと
個人的には 思ってます。
( ※「 脳腫瘍 」で 暴力的に
「 テキサスタワー 銃乱射 事件 」の チャールズ・ホイットマン にも「 脳腫瘍 」があり、それが あの暴力行為を 誘発したのでは…とも 言われている。
ちなみに、ホイットマン本人が「 死後 解剖して 」という旨の
遺書を 残してるんですよね )
〔『 TITANE チタン 』 アレクシアと 車の「 セックス 」〕
これが 激しい セックス場面だとは アメブロ・スタッフも
わかるまい。
……なんか 間違っている気もするが。
「 チタン 」の由来は 「 巨人族・タイタン 」のようで、
作品自体も「 神話 」要素が あるらしいです。
それを 踏まえると この「 車 」も
「 姿を 動物に変え 女性に近づいた ゼウス 」みたいな事の
ように 思えますね。
あと、少女・アレクシア が着ていた
「( 神獣・幻獣 の )ユニコーン Tシャツ 」も
彼女の持つ「 神 属性 」( 非人間性 )みたいのを 表現しているのかもしれません。
〔『 TITANE チタン 』 イイ雰囲気だった 女性を殺害 〕
地味な見どころ、「 皮下 潜り込み 」の「 特殊メイク 」。
そういう作品じゃないので アップには ならないが。
アレクシア が「 人と 性交渉 」できない( らしい )のは
この前の場面の「 ピアス攻め 」( ピアス自体に 興奮 )でも
なんとなく わかる。
〔『 TITANE チタン 』 続いての 男殺害 〕
椅子の「 足 」が むりやり男の口の中に…という
「 男女の 暴力反転 」の構図。
そもそも「 人間の性別 」は アレクシアに 当てはまらない 気も
するけど。
〔『 TITANE チタン 』 アレクシアと 車との「 子 」〕
「 車との子を孕む 」という、ちょっと『 デモン・シード 』※を思い出させる 展開。
この設定が 一番「 変愛 」っぽくて 胸に 響いたな~。
ただ、この後の「 なりすまし 」展開は
( 殺人が 続くと思っていたので )少々 退屈な面も。
〔 ※『 デモン・シード 』(77年)
ドナルド・キャメル 監督、 原作は ディーン・R・クーンツ。
「 人工知能・プロテウス4 が 博士の妻を監禁、
ハイテク技術により “自身の子”を 産ませようとする… 」
みたいな話。
D・キャメル といえば ニコラス・ローグ と共に 監督し、
ミック・ジャガー が 初主演した、
『 パフォーマンス 青春の罠 』(70年)も 超・ヘンな映画
だったな。
個人的には 両作品とも 好きですよ。
ちなみに ボルヘス に傾倒していた D・キャメル は 銃で自殺してます 〕
〔『 TITANE チタン 』 もうひとりの 主人公、消防士で
「 息子が 行方不明 」になっている ヴァンサン( 右 )〕
息子と名乗る アレクシアの「 DNAを 鑑定しない 」の流れに 疑問を覚えたけど、後に「 現実逃避 」と わかり納得。
ヴァンサンは さらに「 ステロイド 」を打ち「 老い 」に抗っていたりと 悲しい 人物だったな。
〔『 TITANE チタン 』 アレクシアの 膨らんだ、お腹 〕
「 男らしさ・息子に すがる 」ヴァンサン だったけど、
その逆「 振り払った 」アレクシア も「 女性らしさ 」を
振り払う事は 出来ず。
それどころか 最後に 至っては
「 失くした ハズ?の 父親への愛( らしきもの )」も復活?
“踊り忘れず” で「 セクシー・ダンス 」も 踊っちゃう。
「 殺人者 」から 曲がりなりにも 人の命を救う「 消防士 」に
なるなど、なんだか 人間味が ちょこっと 増したような…。
〔『 TITANE チタン 』
「 ラストカット 」の ヴァンサン & 生まれた子供。
「 車人間 」を期待していたので 少し ガッカリ 〕
最後は、アレクシアは 命を落とすが、ヴァンサン だけは
とりあえず「 半神( 半チタン?)半人 」の “息子” を ゲット。
…という、寓話らしい フワッとした「 締め方 」でしたね。
「 半チタンの子供 が よく見えない… 」と お嘆きの方は
先に挙げた『 デモン・シード 』を( 自己責任で )チェック。
“それ”っぽいモノ が 見れる…かもしれませんよ。
という事で 個人的には「 タイトル 」に反して
「 人間味、肉体が感じられた 」内容でしたね。
それと、あの「 タイトル デザイン 」らしく「 脳 」関係、
特に「 自由意志 」の話でも あったかな。


















