berobe 映画雑感 -178ページ目

berobe 映画雑感

「 映画 」と「 本 」の感想

まずは 関係ない作品から。

 

 

香港の「 雨傘革命 」を 支持したため “干された”、

俳優の アンソニー・ウォン

 

その彼が ほぼ ノーギャラ で出演した、

 

半身不随の男 と、夢を諦めた フィリピン人家政婦の女性

2人の交流を描いた 人間ドラマ『 淪落の人 』(18年)

 

内容は ベタだけど、アンソニー・ウォンの「 照れ隠し 」、

「 素っ気ない 」、「 優しい 」など いろいろな演技が 堪能

できる作品。

 

個人的には 家政婦仲間の演技も 良かったですね。

 

 

ジャスティン・カーゼル 監督の「 犯罪実話モノ 」、

『 スノータウン 』(11年)は、

 

主人公・少年の母親の、新しい恋人が「 小児性愛者 」や

「 同性愛者 」を 殺害していく……という、

 

オーストラリアで 90年台に 実際にあった「 連続 殺人事件 」の話。

 

序盤から「 主人公・少年への 性的虐待 」と なかなかエグい

展開。

 

( しかも 犯人は 向かいの家の男で、すぐ 釈放 )

 

オーストラリアの「 乾いた大地 」と相まって 心が 一気に

ささくれました。

 

「 子供への 性的虐待、及び 殺害 」と聞くと 少女の被害が

多そうな印象ですが、

 

少年が 被害に遭う場合も 意外と 多いんですよね。

 

( というのは 昨今の あの話題からも わかると思う )

 

リーダー格の 犯人、ジョン・バンディング )自身も

 

「 子供の頃に 被害に遭って 」おり、

それが「 暴力( 残酷性 ) と 憎悪 」の源になっているなど、

 

根が深い背景が 感じられ 思った以上に 気が滅入る作品でした。

 

あ、オージーらしい「 カンガルーの死体を切断する 」場面が

あるので ダメな人は 注意。

 

同じく、

 

カーゼル 監督の「1996年に起こった 銃乱射事件 」を描いた「 実話モノ 」、『 ニトラム / NITRAM 』(21年)

 

主人公・ニトラム 役は ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ

 

これは ニトラムの「 後先・リスクを 考えない 」、

「 自己中心的 」な( あと、共感性のない )危うい言動が

やるせななくも 怖い 作品。

 

「 車の試乗 」の場面は いい加減にしてくれよ…であったな。

 

おそらく「 多動性障害 」みたいなモノなんだとは 理解できるんだけど、こちらの 心身が 疲弊する事には 変わりないんですよね。

 

ニトラムが「 銃乱射 事件 」を起こすまでの背景や、

( 孤独や 疎外感の 影響が大きそう )

 

オーストラリアの「 銃の扱い 」も 興味深かったし、

 

ケイレヴ の演技も 素晴らしかったけど こちらも 心が荒む内容でした。

 

とりあえず カーゼル 2作品は「 実話犯罪モノ 」好きとして

観れて 良かったですよ。

 

 

ここから 本題。

 

 

 

『 TITANE / チタン 』

(仏・ベルギー /2021)

 

サスペンス・ホラー。

 

 

思っていたのとは かなり 違ったけど、

「 寓話・サスペンス&ドラマ 」として 面白く観れたかな。

 

 

てっきり「 殺人 」を絡めながら 進んでいくのかと 思って

いたら、中盤以降から「 逃走( 潜伏 )」の話になるとはね。

 

しかも「 車との子を 妊娠 」や、

疑似父親・ヴァンサンの「 現実 逃避 」の話もあったりと、

 

様々な要素が 内包されていて、いろいろと「 深掘り 」できそうな 内容でしたね。

 

 

〔『 TITANE チタン 』  タイトル。

 

以外にも デザインは「 金属 」っぽいものではなく、

「 脳レントゲン 」〕

 

 

個人的に 強く 興味を覚えたのが

 

事故により「 頭蓋骨に チタンプレート が埋め込まれている 」

主人公・アレクシア の「 車への 愛( 性愛 )」。

 

「 車 と 性( の快楽、興奮 )」といえば クローネンバーグ

『 クラッシュ 』(96年)が 思い出されますが、

 

『 クラッシュ 』の方は

 

「 車の事故による 死や 痛みの 恐怖( =興奮 )が

性的な高揚、興奮と 繋がる 」

 

という「 シチュエーション( 状況 )」として

「 車( の事故 )」が機能していましたが、

 

『 チタン 』の方は「 愛する対象が 車 」、いわゆる

「 対物性愛 」( “物”に 性的に惹かれる )となっていて、

 

実際のところ 根本は まるっきり 違ってましたね。

 

ざっくりとした 方向性として 見ても

「 シチュエーション 」と「 フェティシズム( フェチ )」※

ですし。

 

どちらかと言えば『 クリスティーン 』(83年)の方が 近い

のかな?

 

 

〔 ※「 フェチ 」

 

前にも 書いた気がするが、

今は フツーに「 体・部位に 関する モノ 」に「 フェチ 」を 使っているが 本来は「 物 」( 靴 とか )に 使っていた。

 

さらに 遡れば もともとは「 物神・呪物 」であるらしい 〕

 

 

ちなみに 本作を 観ている時、
「 異常犯罪者モノ の ドキュメンタリー番組 」の ある話を
思い出しましたよ。

 

その話とは…

 

 

「 小児性愛 」の傾向のある男の「 脳 」を調べると「 腫瘍 」が見つかる。

 

その「 腫瘍 」を取り除くと 男の「 小児性愛 」の傾向はなくなったが、しばらくすると その男に 再び「 小児性愛 」の傾向が表れ始める。

 

再度「 脳 」を調べると「 腫瘍 」が見つかり…

 

 

というもの。

 

どうやら「 脳に出来た 腫瘍 」の影響により 極めて稀に?

「 性の対象 」が 変わる事があるっぽいんですよ。

 

(「 性格 」が 変わったってのは よく聞く )

 

なので「 脳への 何らかの影響により 性の対象が変化 」する

設定自体は 必ずしも 突飛な考えでは ないのかも しれません。

 

 

〔『 TITANE チタン 』  冒頭、少女・アレクシア

ちなみに 始まりは「 車のエンジン 」〕

 

 

あと、冒頭の 少女・アレクシア

「 車と 自分を重ねていた 」っぽい事※を 鑑みれば、

 

この後の「 車を 愛する 」展開の 説得力も 結構 出てくるんですよね。

 

 

( ※「 車と 自分を重ねる 」

いわゆる「 ごっこ遊び 」だったが、運転手ではなく、

「 車そのもの 」になっていた…ように感じた )

 

 

〔『 TITANE チタン 』

開頭手術。「 治療行為 」なので「 残酷 」ではない 〕

 

ここ、「 チタンプレート 」の 自由度のある「 ネジ穴の位置 」に 感動しましたね。

 

やたら リアルだったけど 本物じゃないよな。

( どっちでも いいけど )

 

 

〔『 TITANE チタン 』  術後の 少女・ アレクシア

 

ずっと 父親を にらんでいた…。

 

その後も 会話してなかったし、焼き殺そうともしてたんで

父親を「 キライ、恨んでいた 」んでしょう。

 

 

〔『 TITANE チタン 』 少女・アレクシア

「 ユニコーン Tシャツ 」&「 車、超好き( チュ )」〕

 

ちなみに、シートベルトで はっきりとは 見えませんが

「 冒頭 」(車内)でも アレクシア「 ユニコーン Tシャツ 」を 着てるんですよね。

 

 

てっきり「 “変”愛 」( 車への偏愛 )の話だと 思っていたんだけど、その要素は 意外と 少なく、そこらへんも 少し残念。

 

 

〔『 TITANE チタン 』

「 タイトル 」後の アレクシア側頭部 〕

 

ちなみに この後の「 アレクシアが 歩く ~ ダンス 終了 」まで

「 3分20秒 」くらいの「 長回し 」( 1カット )。

 

後半、いきなり「 ダンス 」していたから「 疑似1カット 」だったかもしれませんが。

 

 

〔『 TITANE チタン 』  アレクシアの「 車絡みの ダンス 」〕

 

ここ、なんか『 悪の法則 』※での キャメロン・ディアス

「 ボンネットの上での アレ 」場面を 思い出しましたよ。

 

 

※『 悪の法則 』(13年)  リドリー・スコット 監督。

 

「 ボンネットの アレ 」とか「 ブラピの アレ」とか 予想外の

名場面がある 作品。  「 オチ 」も 最悪で 最高 〕

 

 

〔『 TITANE チタン 』

『 ブラック・エンジェルズ 』を 思い出す、ファン殺害 〕

 

 

アレクシアの持つ「 金属の棒 」( かんざし )は、この後の

展開を考えれば ベタに「 男性器メタファー 」で いいのかな。

 

刺した場所は「 耳の穴 」だったし。

 

個人的には さらに

「 金属の男性器 」=「 人と 性行為できない 」の意味を

感じましたね。

 

 

あと、ココや その後の「 性 と 殺人衝動 」の関係性については

「 性的不能 」や「 異常快楽 」系の 殺人者を 想起しましたよ。

 

ちなみに「 脳腫瘍 」や「 認知症 」の影響で「 暴力的 」※に

なったりも するので、こちらも そんなに 奇抜な設定じゃないと

 

個人的には 思ってます。

 

 

( ※「 脳腫瘍 」で 暴力的に

 

「 テキサスタワー 銃乱射 事件 」チャールズ・ホイットマン にも「 脳腫瘍 」があり、それが あの暴力行為を 誘発したのでは…とも 言われている。

 

ちなみに、ホイットマン本人が「 死後 解剖して 」という旨の

遺書を 残してるんですよね )

 

 

〔『 TITANE チタン 』  アレクシアと 車の「 セックス 」〕

 

これが 激しい セックス場面だとは アメブロ・スタッフも

わかるまい。

 

……なんか 間違っている気もするが。

 

 

「 チタン 」の由来は 「 巨人族・タイタン 」のようで、

作品自体も「 神話 」要素が あるらしいです。

 

それを 踏まえると この「 車 」も

「 姿を 動物に変え 女性に近づいた ゼウス 」みたいな事の

ように 思えますね。

 

あと、少女・アレクシア が着ていた

「( 神獣・幻獣 の )ユニコーン Tシャツ 」も

 

彼女の持つ「 神 属性 」( 非人間性 )みたいのを 表現しているのかもしれません。

 

 

〔『 TITANE チタン 』  イイ雰囲気だった 女性を殺害 〕

 

地味な見どころ、「 皮下 潜り込み 」の「 特殊メイク 」。

 

そういう作品じゃないので アップには ならないが。

 

 

アレクシア が「 人と 性交渉 」できない( らしい )のは

この前の場面の「 ピアス攻め 」( ピアス自体に 興奮 )でも

 

なんとなく わかる。

 

 

〔『 TITANE チタン 』  続いての 殺害 〕

 

椅子の「 足 」が むりやりの口の中に…という

「 男女の 暴力反転 」の構図。

 

そもそも「 人間の性別 」は アレクシアに 当てはまらない 気も

するけど。

 

 

〔『 TITANE チタン 』  アレクシアとの「 子 」〕

 

「 車との子を孕む 」という、ちょっと『 デモン・シード 』※を思い出させる 展開。

 

この設定が 一番「 変愛 」っぽくて 胸に 響いたな~。

 

ただ、この後の「 なりすまし 」展開は

( 殺人が 続くと思っていたので )少々 退屈な面も。

 

 

〔 ※『 デモン・シード 』(77年)

ドナルド・キャメル 監督、 原作は ディーン・R・クーンツ

 

「 人工知能・プロテウス4博士の妻を監禁、

ハイテク技術により “自身の子”を 産ませようとする… 」

 

みたいな話。

 

D・キャメル といえば ニコラス・ローグ と共に 監督し、

ミック・ジャガー が 初主演した、

 

『 パフォーマンス 青春の罠 』(70年)も 超・ヘンな映画

だったな。

 

個人的には 両作品とも 好きですよ。

 

ちなみに ボルヘス に傾倒していた D・キャメル は 銃で自殺してます 〕

 

 

〔『 TITANE チタン 』  もうひとりの 主人公、消防士で

息子が 行方不明 」になっている ヴァンサン( 右 )〕

 

 

息子と名乗る アレクシアの「 DNAを 鑑定しない 」の流れに 疑問を覚えたけど、後に「 現実逃避 」と わかり納得。

 

ヴァンサンは さらに「 ステロイド 」を打ち「 老い 」に抗っていたりと 悲しい 人物だったな。

 

 

〔『 TITANE チタン 』  アレクシアの 膨らんだ、お腹 〕

 

「 男らしさ・息子に すがる 」ヴァンサン だったけど、

 

その逆「 振り払った 」アレクシア も「 女性らしさ 」を

振り払う事は 出来ず。

 

それどころか 最後に 至っては

「 失くした ハズ?の 父親への愛( らしきもの )」も復活?

 

“踊り忘れず” で「 セクシー・ダンス 」も 踊っちゃう。

 

「 殺人者 」から 曲がりなりにも 人の命を救う「 消防士 」に

なるなど、なんだか 人間味が ちょこっと 増したような…。

 

 

〔『 TITANE チタン 』

「 ラストカット 」の ヴァンサン生まれた子供

 

「 車人間 」を期待していたので 少し ガッカリ 〕

 

 

最後は、アレクシアは 命を落とすが、ヴァンサン だけは

とりあえず「 半神( 半チタン?)半人 」の “息子” を ゲット。

 

…という、寓話らしい フワッとした「 締め方 」でしたね。

 

半チタンの子供 が よく見えない… 」と お嘆きの方は

先に挙げた『 デモン・シード 』を( 自己責任で )チェック。

 

“それ”っぽいモノ が 見れる…かもしれませんよ。

 

 

という事で 個人的には「 タイトル 」に反して

「 人間味、肉体が感じられた 」内容でしたね。

 

それと、あの「 タイトル デザイン 」らしく「 脳 」関係、

特に「 自由意志 」の話でも あったかな。