つい先日、名前を聞けば誰でも知っている喫茶店で一人コーヒーを飲んでいた
隣の席に若い男女のカップルが座っていた
とてもおしゃべりな男の子で約1時間、ずーっとしゃべりっぱなしだった
あまりにも良くしゃべる男の子なのでついつい、隣の様子が気になってしまう
大学生っぽい男の子と高校生っぽい女の子
どうやら、アルバイト仲間で、アルバイトの帰りに男の子が女の子を誘った様子だった
男の子はアルバイト仲間のその女の子に好意を持っているようで
女の子への質問や自分のことをひたすら話している
男の子の見た目は、いかにも今時の大学生といういでたちで
ジーンズにTシャツ、髪の毛はツンツン、顔はソース顔?
女の子は、顔が小さくって、少しおとなしめの口数の少ない可愛い子
「ねえねえ、お母さんとかってエステとか行く人?」
「・・・うん、たまに行ってるみたい・・・」
「そーなんだ、お母さんとかがエステに行くのっていいよねえー」
(なんのこっちゃ、と笑いそうになる)
「俺の母親は、あんまりエステとか行かない、でも行くって言い出したら
そのお金は、俺のお小遣いにくれよって感じだよね」
「・・・・・・・・」
「俺なんか、母親になんて言われているか知ってる?」
「・・・・・・・・」
「金食い虫だって(笑)、いやんなっちゃうよねぇ」
「・・・・・・・・」
「そういえば、バイト先で、俺の教え方ってどう?」
「・・・すっごく、やさしくって分かりやすいですよ・・・」
「そーかな、そんなことないよ」
「・・・いえいえ、本当に、やさしいですよー・・・」
「でもさ、やっぱり、やさしいだけじゃだめなんだよね、少しは厳しくしないと(キリッ)」
「・・・・・・・・・」
話の内容や、声のトーンから、男の子はその女の子に何とか好意を
持ってもらおうと必死な様子が伝わってくる
必死すぎて、話題が空回りしてしまうところが何だかおかしくて、
その不器用な男の子の様子に何だか好感を持ってしまい
つい「がんばれよ」と心の中で応援していた
約1時間、男の子はしゃべりっぱなしだったが、
相変わらず話のキャッチボールがうまくいってない、横で聞いていてももどかしい
女の子が、あまり話さない無口な女の子なのか、それとも話べたなのか、それとも・・・
約1時間、しゃべり続けた後、男の子は、ちょっとトイレにと席を立った
男の子が、見えなくなった後、ふと、その女の子の様子を見ると
今まで、あんなに可愛い笑顔を振りまいていたのに
深いため息ととともに、どうしようもないくらい不機嫌な顔をして、
携帯電話のメールをチェックしていた
しばらくして、男の子がトイレから慢心の笑顔で席に戻るのを見て
居たたまれなくなった僕は、伝票を持って席を立った
外へ出て、深い溜息とともに独り言をつぶやいていた
「世の中、うまくいかないことが多いよなー
でもうまくいかないことが多いのが世の中なんだよなー」
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