モロッコ名物といえば、ミントティー

そのミントティーを作るのに欠かせないものといえば、ティーポット。


お土産として、自宅用にティーポットを買うなら


やっぱり職人の技が光る、美しい細やかな模様が入ったやつでしょ!


って、思ってた。




こういう。


(画像は『モロッコマルシェ』さんからお借りしました。)



観光客向けスークにあるおみやげ屋さんなんかで、よく見かけるタイプ。


ガイド本のお土産リストにも、だいたい載っていて。


「品質のいいものを見分けるコツ」が書かれた記事を、ちゃっかりチェックしてたりなんかして。


やっぱり買うなら良質のものを!

とかって意気込んでたわけです。

多少値が張ってでもいいものを、と。




そんなわたしが旅の終盤に購入したの


地元民向けスークのキッチン用品店で売っていた、このティーポット。





お値段500円程度。


たぶん、いやきっと、中国製。


模様も入っていないし、職人技を感じる要素もない。


たぶん、現地の人からしたら、どこにでもある、何の変哲もないティーポット。





なのに、、、





いつしか、このつるんとしたビジュアルと、チープな質感(失礼)に


とてつもない愛着を感じるようになっている自分がいたのです。


もう、見るだけでキューンてなる始末。(ビョーキかも)


ラグジュアリー(?)なティーポットを手にしたい願望はどこへやら。





考えてみれば、











安宿のオープンカフェで、今日は何しようかとボーッと考えながら、飲む一杯。



夜行バスで新しい街に辿り着いた後の、朝ごはんとともにいただく、目覚めの一杯。



初めてお邪魔するおうちで、ちょっぴり緊張しながらいただく一杯。



クスクスやタジンができるのを待ちながらすする、おしゃべりのお供の一杯。






わたしがアッツァイを飲むとき


出てくるのは決まって、このシンプルなティーポットだった。



ただ、それだけのことなのです。



もし、五つ星ホテルに泊まり歩き、高級レストランで食事をする旅のスタイルだったら


はじめから気になっていたティーポットを買っていたのかもしれない。





「大好きなものに囲まれた暮らし」とは、よく聞くけれど

「自分が愛着のあるもの」や「自分にとって本当に価値のあるもの」が、暮らしを彩ってくれる喜びというのは、こんなに大きいものなんだと


「なんの変哲もないあいつ」でお茶を淹れる度、しみじみと思うのでした。