古いアルバムが

黴臭い押入れから

顔を出す

📙


お婆ちゃんは

想い出の中だけで

生きている


だから

見返してはポツリ

めくってはまたポツリ

今そこに居る大切なひとに

話し掛ける

🍂


もう水仕事もしない

乙女のようなその指でページをさぐり

子供のような瞳で追いかける

独り言のように眠るように

けらけらと

笑っている

🍁


ほんとうは

そこに居る大切なひとはみんな

お婆ちゃん自身なんだと

勘違いしても


笑うように眠るように

ずっとずっと

語り掛けている

🌙