熊本県と言えば、人は皆何を思い浮かべるだろう。
まず、1番最初に思い浮かぶのは阿蘇山ではないだろうか。阿蘇山は熊本のシンボルとも呼ばれ、周りには阿蘇神社や白川水源など、数々のパワースポットが存在しており、常々阿蘇山を目的として熊本を訪れる人が後を絶えないと聞く。
他にもご当地キャラクターのキングと呼ばれるくまモンの存在も非常に手強いが、次に熊本と言えば。に名を連ねるのが、今回私が訪れた温泉施設、湯らっくすである。
一見なんの変哲もない温泉施設だが、このサウナと天然温泉 湯らっくすは西の聖地と呼ばれ、全国のサウナー達が遠方遥々やって来る程の人気ぶりなのだ。
浴室内に入ると、平日の昼間にしては人が多かったものの、混雑を全く感じさせない程に広々とした空間が広がっていた。
そしてそんな広い浴室内、充実したお風呂の数々を差し置いて、一際存在感を放っているのが、熊本の三大名所、「湯らっくすの滝」である。
湯らっくすにあるサウナは全部で3つ。
今回私が初めに選んだのは1番スタンダードなアウフグースサウナである。
アウフグースサウナに入った時、サウナ室の横に小さな扉があるのに気づいた。これがメディテーションサウナ。
あまり人も入っておらず、何やら暗い雰囲気を察したため、このサウナに足を踏み入れることもしなかった自分を数時間後、泣くほど責めることになろうとは、この時の私は知る由もなかった。
アウフグースサウナの温度は80度。湿度はそこまで高くなく、カラッとした感じがある為、芯からじわじわ温まっていく。
室内の照明が暗く、落ち着いた空間である。
サウナ室で心行くまで汗をかき、もうこれ以上の気持ちよさはないと思いながら水風呂へ向かう。
湯らっくすにある水風呂の水深は深く、1番深いところで153センチある。私は顔までずっぷり水の中に浸かる。
溺れかけながら湯らっくすの滝へ向かい、震える手でMADMAXボタンを押す。
雷に打たれたような衝撃を受け、私はまた、水風呂の底に沈んでいく。
苦しい呼吸の中で、ふと思う。
きっと私は来世で、鳥になることができないのだろう。代わりに魚になるのだ。
どこまでも続く海を泳ぎ、気持ち良くなってきたところで、釣られて焼かれて食べられて、、儚い人生ではあるが、人の腹を満たすことの出来る魚に転生するのだろう。
そう悟った。
整いスペースも非常に充実していた。
外気浴をはじめとして、1番印象的だったのはお風呂の中にあるビーチチェア。他にも室内の至る所にイスが並べられていた。
正直整っている時の記憶はほとんどない。外気浴中カラスが襲ってきた気もするが気のせいだろう。
その後、アウフグースを浴びることも出来たが、正直その記憶もあまりない。
ポワポワしたままサウナを出た私に相方から衝撃の一言。「メディテーションサウナは日本でいちばんのサウナだと思った」
、、、。メディテーションサウナ、、、?あぁ、あの暗い小部屋か。聞けばメディテーションサウナでは、阿蘇の伏流水を使った天然水にヴィヒタを浸した水でセルフロウリュができるのだというのだ。迸る衝撃。なんという失態。
暗いというだけで興味を持たず、入ることもしなかった自分を責めた。つくづく好奇心は人間の財産であり、何事にも興味を持ち挑戦することで、人は幸福を味わうことができるのだと感じた。
しかし、メディテーションサウナという名物サウナをみすみす見逃したお陰で私は、明日からも頑張ろう。と思うことができた。いつの日かまた熊本に足を運び、メディテーションサウナという天国に来ることが出来ると信じて。