ファンが喜んでもボランティアは業務 | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。

プロ野球・阪神とオリックスの優勝パレードが23日に神戸と大阪でありました。
何十万という参加者があったらしい。

問題は、会場整理要員として動員された職員さんです。

神戸では、兵庫県や神戸市の職員(公務員)が公務として出席しました。
公務なので給与や代休が保障されます。

これに対して、大阪では、大阪府や大阪市の職員(公務員)をボランティアとしてかり出したということです。上司のルートを通じて呼びかけられたところもあったようです。

ボランティアの場合は給与も代休も保障されないし、なにか事故があったとき(そしてこの球団やファンからすれば事故が起こってもおかしくありません)の補償も問題になります。

もしボランティアの職員がケガをした場合は労災補償(公務災害)はどうなるでしょうか?
法律論としては、いくら大阪府市がボランティアと言ったところで、実態から判断されます。それが、労災の業務遂行性の判断です。
職員から聴き取りをし、ボランティアとして動員された経緯について調査し、大阪府市からの依頼のルートを調べ、おそらく業務と判断され、労災認定がおりるでしょう。なぜなら、公務員のみをターゲットに出席を要請しているから、あきらかに実態は公務だからです。


ところで、本当にボランティア形式にするならば上司を通じて募集する必要はありません。みずからも市長や知事の肩書きを使わず、公用車も使わず、実行委員会形式にして会場整理要員も一般公募すれば良いはずです(きっとたくさんのファンが名乗りをあげたでしょう)。
大阪・吉村知事(弁護士)は「ファンや選手の顔を見て批判を続けられるのかな」と言ったと報道されていますが、論理のすり替えです。
仕事でお客さんの笑顔をみるのは誰もが嬉しいことですが、だからといって無給になることはありえません。
また今回の優勝パレードは、まったく関係ない万博を関連付けたり集まりもしないクラウドファンディングを募集した(最後は経済界が拠出したとのこと)ことも批判されました。
大阪では、維新の会が政権を取ってから、公務員叩きや労働組合潰しの不当労働行為が繰り返されてきました。労働法違反の見本市となっているのが大阪です。

ところで、ヴィッセルの初優勝パレードは?