こんにちは、弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
どうしたら復職できるかについて書きます。
「解雇を裁判で争っても勝てないでしょ」と言われたことがあります。
半分は正しくて半分は間違っています。
ただし、労働事件を取り扱う弁護士としては、痛いところを突かれた質問です。
正当な理由がない解雇は無効になります
まず、法律的なことで言えば、解雇には正当な理由が必要で、これがない場合は解雇権濫用として無効となります(労働契約法16条)。
弁護士の経験でいうと、会社側が無茶な解雇をしているケースはたくさんあります。
「こんなことで解雇ができると思っているのか?」と、裁判官が社長に問い詰めることさえあります。
ですから、解雇事件は、弁護士からみると、裁判では勝ちやすい事件が多い。
職場復帰したい
しかし、裁判で解雇が無効とされたからといって、労働者にとっては終わりではありません。
労働者にとっては、もとの職場に復帰できるかどうかが一番大事なことです。
実際に、勝訴しても職場復帰できない事件もかなり多いのです。
自分が担当した事件で、解雇事件で裁判所で勝訴した場合に職場復帰できた事例とできなかった事例を数えてみると、結論はほぼ半々でした(2016年12月時点)。
解雇が無効になったのになぜ職場復帰できないのか、常に疑問がつきまといます。
裁判所の理屈は、労働者には就労請求権(働かせろという権利)がないから、と言います。ただし、仕事しなくても賃金は支払わなければなりません。
そうすると、せっかく勝訴したのに、職場に戻れない、という事態が続き、労働者の側がとちゅうでイヤになって退職してしまうこともあります。
政府では、解雇が無効であっても金銭を払えばよいという制度(金銭解決制度)について検討していますが、弁護士としては、無法を合法化するような制度には反対です。
まとめ
冒頭の質問にもどると、「勝てない」というのが「職場復帰できない」という意味なら、確かにそういケースもあります。
もちろん、その反対に、職場の同僚や労働組合も頑張ってくれて、職場に復帰するケースもあります。
自分が担当した事件は職場復帰した割合が高い方だとは思っていますが…。
弁護士は、職場復帰したいケースでは、そうした希望が通るよう、訴訟中から、いろいろ努力しています。
冒頭のご質問も、弁護士に対する叱咤激励と考えて、頑張っています。