七月なかばの三時頃。
午後のハーブティを一人で用意していたときに、アリスが帰ってきた。
「ただいま。やっぱり外に出てなかったのね、サネル」
玄関口から大して面白くもなさそうな少女の声が聞こえた。
「こっちは随分忙しかったんだから。朝こっぱやくここを出て、宿屋の手伝いしにいって、やっと終わったと思ったら今度はガキのおもりよ?…はいこれ。頼まれた食材」
ぶつくさ愚痴る声が一度途絶え、重量感がある音がキッチンまで響いてきた。
サネルはお茶を蒸らす作業を切り上げ、とてとて玄関へと向かっていく。
「おぉ、アリス。随分買ってきてくれたのだな。どれ…私が持っていこう。」
食材でぱんぱんの袋に、自分の手をかけた。
だが、持ち上がらない。まるでこの場から動きたくなくて抵抗しているかのように動いてくれない。
ならばと、かぶを抜くそれのような姿勢で踏ん張ってみても髪の毛一本ほども動かなかった。
「ああぁ、いい、いいってば。あたしが持つから!」
アリスがまだ玄関口にいてくれたことがなんとありがたかったことか。
「…はは…すまんな。私は相当貧弱だなあ…お前が持てたというのに…」
「貶してんのモヤシのくせに。それと、今お茶の時間でしょ。あたしの分ある?」
アリスが問いかけてくる。
…お茶、といえば…
「…そうだ、今蒸らしてた。ちゃんとお前の分もあるぞ」
茶を入れてくるから荷物を頼まれてくれとアリスに一言いうと、サネルはまたとてとてキッチンに戻っていく。
さて、今日はどんなお茶会になることだろう。
サネルはそんなことを考えながら、
ハーブティーを白磁のカップに注いでいく。