「こんにちはぁ。」
声をかけられた気がして、鈴奈は振り向いた。
そこには、狐のように細い目だけど、とても愛くるしいオーラが出ている女の子。
自分の赤めのワンピースとは違い、今時の服を着ている。
「…だ、誰?」
「あたしい? あたしは 紺野 九里子! くりって呼んでねっ!!」
「く、り、ちゃん…?」
新鮮。自分がここまで話しかけられるなんて。
名前を教えてくれるなんて、ホームルームの先生以来だ。
「な、なあに?」
おずおずと、声を出してみる。すると、くりちゃんは恥ずかしそうにもぞもぞと動いた。
「……宿題、写させてっ!!」
…宿題を… う、つ、す…?
そう、それは正に未知の世界。
鈴奈は全く知らない世界。
これは化学反応式でも、方程式でも表すことができない…
なんでこの子は私に話しかけたのか。
そう。
それは変死の事件や心霊現象なんかよりもずっとなぞめいている…
なんで?
なんで?
鈴奈、10歳。
今猛烈にパニックが起こっている。
「…ええと… いい? ちょっと?」
くりちゃんがちょっと不機嫌に話しかけてきたのを、
「…うん。」
と、汗をだらだら垂らしながら答え、
「やあだあ! 今日そんなに暑くないじゃない! なあに? 好きな人でもいるの?」
といわれたのは言うまでもない。