コロナ騒ぎから、競馬場の現場に出かけていない私。 現場に行くと忙しい。 パッドック行って馬の調子を見て、席に戻って本馬場に出てくる馬の様子もチェック。 そして、競馬新聞見ながら、オッズ表示のモニターを見ながらマークカードを記入する。 そして馬券売り場に向かうので大変な労力がいる。

 

春に向かって、競馬も華やいできた。

 

コロナ騒ぎから、競馬場の現場に出かけていない私。

現場に行くと忙しい。

パッドック行って馬の調子を見て、席に戻って本馬場に出てくる馬の様子もチェック。

そして、競馬新聞見ながら、オッズ表示のモニターを見ながらマークカードを記入する。

そして馬券売り場に向かうので大変な労力がいる。

 

最近はデスクの4台のモニターで、パドックも本馬場の馬の様子も見て、各馬の過去のデータも簡単に別のモニターに目を移せば良いだけだ。

簡単に馬券購入も入力できて。

開催中の中山競馬は、私の家から電車でも車でも片道2時間近くかかってしまうのに何年前かは常連だったが、最近はグリーンチャンネルを見て競馬をしている。

 

中山競馬の3レースに、女性アナウンサーが実況。

JRAの正式な実況を女性がするのは、おそらく初めてではないだろうか?

集中して中継を聴いていると、明るく滑舌が良くて応援したくなるアナウンサー。調べるとラジオNIKKEIのアナウンサーで藤原菜々花(ふじわら ななか)さん。

3、4コーナー沿いにある桜の木が背景が映り、桜の花はいつ咲くのかなと思いながら聴いていたのですが。

 

この季節感の中山競馬場で、ちょっとした出来事があったのを思い出してしまいました。

 

若い時、私は一度だけ家出をしたことがあったのす。

父親と言い争いをしたのがきっかけだったのですが、その内容を今思い起こそうとしたのですが、思い出せない。

 

友人の部屋に数日泊めてもらったのですが。

土曜日の朝、一人で中山競馬場に行ったら、正面の入口前に父がいたのです。

まさか。

驚きました。

競馬をしない父親は、知らないはずの競馬場に初めて来たのだ。

早朝、車に乗って私を探しに来たのです。

 

その頃、私は毎週競馬場に来ていたのですから、ここに来れば、私と出会うことは間違えないわけですが。

でも、まさか父親が来るとは思わなかった。

ちょっと遠い、初めての場所に朝早くから来て ”申し訳ない” と思う気持ちになって、その場で二人の関係は私が劣勢になってしまったようだ。

 

競馬の経験のない父親に、競馬新聞を買って渡したら新聞の見方を聞かれ、私は説明を。

父親に教えるという行為は初めてなのか、どのような口調で話したらよいか迷いながらでした。

父は、頷きながら真剣に、そして楽しそうに聞いっていたのを覚えている。

わざわざと、いくつかの質問もして。

 

レースが始まると、父はほとんどの時間ビールを飲んだり、ハイボールを飲んだりしていました。

時々遊び半分で、私に聞きながらの馬券を買ってもいたのですが。

 

昼食の休憩時間は、よく食べていた ”銀カツ定食” を私が奢った。金カツ定食というのもあって、銀カツは安い食事なのですが、私は気に入っていた競馬場のランチだった。

それを食べながら、父親にビールを注いだのを印象的に覚えている。

 

私は競馬場に行くのは、ほとんど一人。

複数で行くと、ギャンブル感がなくなって遊び感になってしまう。

そのような時は、大体当たらないことが多い。

その日は、父親がいるのでほとんど競馬に集中できずに成績が悪い。

私にはめずらしく競馬をやる気を失せて、メインレース前に競馬場を離れることにしたのです。

「メインレースは、観ないの。」と言われたものの。

それに車だと、早めに出ないとすごく混雑してしまうこの周辺。

「だって、車だとすごく混雑するから。早く帰ろうよ。」

後で気がついたのですが。車で来てお酒を飲めば、私が運転して帰るしかないという父親の計画だったのかも知れない。

 

まだ混み合う前だったので、木下(きおろし)街道をスムーズにスタートできた。

ラジオをつけて、メインレースの中継を聴きながら運転していたのですが。

前売りで買った馬券も外れてしまいました。

今日は、やはり良い勝負どころが全然ない。

 

父親は、酔いがまわっているのか助手席で気持ちよく目を閉じている。

私は黙々と運転しながら隣にいる父親のことを、人生初めて色々と考える時間になっていた。

今まで、そんなに深く父親のことを考える機会はなかったので。

仕事が忙しい父とは、比較的交流が少なかった関係だった。

母親とは大変密な関係だったのに比べると、父親とは明らかに距離があったと思っていた。

でも、私はその関係を嫌なもんだと思ったことはなかったのですが。

競馬実況をBGMにして、そのような父との関係などを考えていたら、短い感覚で家に帰って来られました。

 

家に着いて車のドアを開けようとした時。

「これ、当たってないかな。」と自分で買った馬券を見せた。

それは、メインレースの中穴の当たり馬券だった。

「これ当たっているよ。」

「本当。じゃあ、今度の馬券資金にしたら。」と渡された。

金額も意外と多めに買っていて、結構な当選金になる馬券だ。

きっと、目を瞑りながら競馬中継は聞いて、当たったのを知っていたのだろう。

そして、私が父親のことを考えていたのを察していたのだろうか。

そんな想像をしながら家に入ったのを思い出す。

 

私は、その日から普通に家での生活に戻ったのですが。

私が、スムーズに家に戻れるきっかけを作ってくれたのかも知れない。

 

今日、競馬の中継を観ながら午前は父親のことばかり思い起こしていて。

今日は父親の誕生日でも命日でもないのに。

当然、馬券は当たらない。

 

昼休みに、父の好きなウイスキーで乾杯しました。

午後の競馬が大当たりするように。