今日は彼女の誕生日。また風呂に浸かりながら考える。彼女が最後に口にした「嘘つき」とは、なんだったんだろう。

周りは、意識が朦朧とした中での言葉で深い意味はないと慰めのように言う。

でも、どこかで彼女の信頼を裏切っていたことがあって、それが朦朧とした中で意識の端に浮かんだんではないか。


死の間際に、そんなことを思い出させるなんて何て詫びたら良いのか分からない。


でも、何の事を言っていたのか、心当たりがあると言えば、五万とあるし、無いと言えば無い。つまり、色々自分では細かい嘘と思っていた事は五万と有るけど、その中の幾つか或いは全部が彼女の心を深く傷付けてしまったんだろう。


あの世なんて無いけど、もし有ったら何のことだったのか聞きたい。自分で考えろと怒って教えてくれないだろうけど。

でも、怒ることすらしてくれなかったらどうしよう。