パワーハラスメント
いまでこそ減少傾向にはありますが、消防の世界では依然として根強く残っているのが実情です。
実際に「消防 パワハラ」と検索すれば、多くの事例が出てきます。
最近では、幹部職員による暴言や威圧的態度が日常的に行われていた事案も報道されており、組織として非常に重く受け止めるべき問題です。
私は、ハラスメントを行う職員は絶対に許されないというスタンスで業務にあたっています。
しかし、現場で実際に向き合うと、単純な善悪では割り切れない難しさがあるのも事実です。
そこで、今回はパワーハラスメントについて考えたいと思います。
■ パワハラは「無意識」に起きている
面談や聞き取りを行う中で感じるのは、無意識にパワーハラスメントを行っているケースが少なくないということです。
本人に自覚がない。
だからこそ、是正されにくく、周囲も指摘しづらい。
これは非常に危険な状態です。
■ 実際にあった事例
ある職員からの相談です。
先輩職員から、以下のような対応を受けるようになりました。
業務上の報告を受け付けない
意図的に会話を避ける
目を合わせない、返事をしない
業務を独断で進める
きっかけは、休暇取得に関する意見の対立でした。
制度上問題のない取得方法であっても、先輩は「不公平だ」と感じ、その感情が行動に表れたケースです。
さらに問題なのは、その先輩が
「みんなもそう思っている」
「自分は代弁しているだけだ」
と主張していた点です。
しかし実際には、その認識は本人の思い込みであり、周囲との認識に大きなズレがありました。
■ なぜパワハラは起きるのか(構造)
現場経験から見えてきた共通点があります。
それは
**「思い込み」と「組織構造」**です。
① 思い込み(認知の歪み)
自分の考えが正しいという前提
私の知る組織では、特に40歳代の隊長クラスや50歳代の管理職に見られます。
データや規則で指摘しても「私の常識が正しい」というスタンスが強くて全く耳を傾けようとしない。
「常識」という曖昧な基準への依存からか他者の価値観を受け入れない姿勢が目立ちます。
② 組織構造
階級社会、強い上下関係(権限勾配)
閉鎖的な人間関係
同調圧力と指摘しづらい雰囲気
根強い体育会系の考え方
これらが重なることで、パワハラは“個人の問題”ではなく
**「組織で発生する問題」**へと変わります。
■ 対処の基本(実務)
① 被害を受けた場合
まずは、詳細な記録を残すこと。日時や内容は必ず記録してください。私も記録していました。いざというときに戦える準備を必ずしてください。
そして、信頼できる第三者に共有すること。戦うには仲間が必要です。同じ境遇の仲間や同じ考え方の味方を多く持ちましょう。
何よりも大事なのは
一人で抱え込まないこと
一人で抱え込むと精神的にやられます。どなたでもいいので悩みを打ち明けてください。もちろん、私でも構いません。
② 管理職の対応
事実確認を徹底してください。その記録が本当なのか、人事課や顧問弁護士と相談しながら調査をしてください。
そして当事者同士を一時的に分離するなどの人事的配慮も忘れないでください。組織は職員を守ります!という気持ちや感情を表にだしましょう。
調査が終われば行為の是正や指導、あまりにもひどい場合は、顧問弁護士と相談の上、処分を行います。
③ 組織としての対応
指導、是正、処分が終われば再発防止策を組織で考える。決してうやむやで終わらせないことが重要です。
私の組織では、外部のハラスメント研修を取り入れたり、相談しやすい環境づくりを徹底しました。
■ 無意識のパワハラを防ぐために
最も難しいのは、無意識の行為をどう是正するかです。
重要なのは
**「気づける環境」**を作ることです。
同調圧力や組織風土で気づいても放置、指摘できないなどの問題があります。
管理職自らが
部下とのコミュニケーションを取る
そこから異常や異変に気づく
上司が率先して是正していくことで部下に安心感を与える
結果
意見を言い合える環境が作られて、指摘しても関係が壊れない組織へと変わっていく。
非常に難しいですが、管理職がまず動く!
これがポイントです。
■ まとめ
パワーハラスメントは、個人の資質だけでなく
組織の構造によって生み出される問題です。
違和感を見過ごさないこと。
声を上げられる環境を整えること。
そして何より
「正しさ」を押し付けないこと
これが、組織としてパワハラを防ぐ第一歩です。
■ 最後に
現在も苦しんでいる職員は少なくないと思います。
私自身も経験がありますが、精神的な負担は想像以上に大きいものです。
だからこそ、幹部として
「見過ごさない」「放置しない」組織をつくる責任がある
と考えています。
小さな違和感を、そのままにしない。
それが結果として、大きな問題を防ぐことにつながります。
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