古めかしい大きな門の向こうに玄関が見える。
この辺りに住んでた頃は自転車で来て門のところに置く。
そして玄関まで歩いてガラガラと戸を開けて
ごめんくださーい!と大きな声で言う。
奥から
あらら、どうしたの?
といつも彼女が出てきた。
でも、もうそんなことはないのだ。
彼女は2週間前に亡くなったのだ。
10日前のこと見知らぬ女性から電話があった。
彼女と同じ苗字だった。
あの、突然お電話して申し訳ありません。
実は○○○○子の家の者ですが実は義母が亡くなりまして
お葬式はもう終わりました。
本人の希望で家族だけで見送りました。
取り敢えずお知らせしようと思いお電話させていただきました。
えっ2週間前にメールが3回来たのに亡くなったって?
それも北海道へ行ってるって言ってたのに?
それは嘘でした。
北海道出身の彼女は最後は故郷の北海道で、と言ってたそうです。
でももう北海道へ行く体力はなかったそうです。
北海道へ行ったつもりでメールにそう書いたのでしょう。
本当は近くの病院へ入院してたそうです。
末期ガンで痩せ細って毎日点滴をしてたそうです。
そんなこと何も知らずに北海道!いいわね、
でもまだ寒いんじゃない?
美味しいものたくさん食べてきてね。
なんて脳天気な返事を送ってしまいました。
それより、4年前に彼女はガンになり胃を全摘していたというのに
それも知らなかった。
東京へ遊びにおいでよ!と何回誘っても来るとは言わなかったはずだわ。
時々送られてくる写真の彼女はだんだん痩せてきていた。
電話でその事を言うと何気にはぐらかす。
どこか悪いのかもしれないけど言いたくないのね。
とは思っていたけど、まさかそんなに悪かったとは。
電話口の彼女はいつもとにかく明るかった。
二人でよく大笑いしたものだ。
あなたは本当に大切なお友達だからいつまでもよろしくね。
元気で長生きしていつまでも仲良くしようね。
年賀状にも毎年末永くよろしくねと書いてあった。
それなのに病気のことは一言も言わずに逝ってしまうなんて。
たぶん私を悲しませたくなかったのでしょう。
誰かが私に話すといけないと思ったのか電話は必ず彼女のほうからかかってきた。
私がかけるといつも誰も出なかった。
彼女のお嫁さんからの電話で亡くなったことを聞いて泣いた。
胸が苦しくて何度も泣いた。
夜は眠れなかった。
彼女に会いに行かなくては、と思ったけど
彼女がもう居ない家には行きたくなかった。
でも不思議なもので3~4日経つと少しだけ楽になってきた。
まだまだ彼女のことばかり一日中考えてはいるのだけど。
春日井へ帰ってみよう!
彼女にちゃんとお別れしなくては!
そう思えるようになってきた。
心配した娘が一緒に行くという。
それで娘の仕事が休みの日に新幹線に乗ったのだ。