ガンダムビルドファイターズ非公式外伝~Beginning Spirits~

ガンダムビルドファイターズ非公式外伝~Beginning Spirits~

ガンダムビルドファイターズの非公式外伝です。
暇潰しに読んで頂けると幸いです。(^^)

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 10年ほど前に発見された『プラフスキー粒子』を利用することで、本来動かないはずのガンプラに命が吹き込まれ、操縦することが可能になった。
 そして生まれたのが、『ガンプラバトル』である。
 この競技はガンプラを製作するビルダーと、操縦を行うファイターとに分かれる。
 この両方を一人で担う者も多く存在する。
 競技の形式もアニメのガンダムと同じようにMS戦が中心であり、それは一対一やバトルロワイヤル、タッグマッチなど、様々な形式が存在した。
 さらに、『動いて競う』ことはほとんどが可能であった。
 バトルに必要な装置は一部の模型店に常設されており、老若男女構わず、誰でも気軽に参加できた。
 多くの者が、より強いガンプラを求め、工作技術やバトルの腕を磨く。
 このガンプラバトルは瞬く間に世界中に広がり、ファンを急速に増やしていった。
 目指すは、世界大会。
 ガンプラバトルワールドチャンピオンシップ。 
 そして世界一の称号を得る。
 
 そして今、新たなる物語が始まろうとしていた…


 ある夏の夜。
 ここは埼玉県のとある街。その住宅街にあるマンションの一室。
 俺の名はキッカワ・リョウ(吉川 凉)。私立高校2年の17歳だ。ガンプラバトルに参加している。
 もともとガンダムが好きでね、よくガンプラを作っていた。
 俺の学校ではガンプラバトルに参加している者は少ない。
 そりゃそうだろ。この学校は県内でも有名な進学校。校則もかなり厳しい。いわゆる、真面目くんと真面目ちゃんが生徒の7割を占めている。
 俺の所属している水泳部でも一部を除いて上下が厳しくてね。
 その代わりか、この学校は全国でもトップクラスの設備を持っている。俺達のプールも屋内の温水プールで、お湯の出るシャワーやサウナまである。マジ感謝。
 そんな学校だが、ガンプラバトルの影響か、ガンプラ部が存在する。
 これまた設備が凄い。模型店に匹敵するほどの量の塗料や工具。備え付けのエアブラシまである。
 もちろん、ガンプラバトルに必要な装置は全て揃っている。小さな大会ならここで行えるほどだ。
 しかし、このガンプラ部、部員がたったの4人しかいない。俺達の水泳部にも40人を越える部員がいる。他の部にも最低でも20人はいる。
 まぁ、仕方がないか。今年出来たばかりだもんな。
 だが、ガンプラ部に出入りしている人は部員を除いても10人はいる。
 そう。ガンプラ部に所属していなくてもガンプラバトルに参加している者はいる。彼らはこの設備を利用し、日々腕を磨いている。まぁ、俺もその中の一人なんだけどね。
 このガンプラ部の顧問のマツナガ(松永)先生。この人マジ凄い人。某有名模型誌にてモデラーを務めていたことがあるらしい。これだけでも十分凄いが、さらに凄いのはここから。なんと、ガンプラバトルワールドチャンピオンシップに出場した経験を持っている。
 ガンプラ部の設備もこの人の力があってこそのものだ。
 本人曰く、「ガンプラを愛する者は皆兄弟」らしい。俺も、ここの設備を使わせてほしい、と相談したらあっさり許可を出してくれた。
 と言っても、俺のガンプラの腕は、別に、そーでもない。
 初めて作ったガンプラは7年前、小2の時の『HG エールストライクガンダム』だ。
 その後4年ほどのブランクがあった。中学から、またガンプラを作り始めたのだが、素組にスミ入れ+ガンダムマーカーでのちょっとした塗装しかやったことが、ない。
 従って、俺の作ったガンプラはあまり強くない。むしろ、弱い。
 操縦は、まぁ、中の上くらいだな。それでも、ガンプラ部のモデラーにすら勝てない。ガンプラの性能の差が大きすぎる。
 もっと上手くガンプラを作りたい、もっと上手く操縦したい。
 だが、今は夏。水泳部の一番忙しい時期だ。ガンプラの時間など、とてもじゃないが取れない。
 明日から3日間、大きな大会がある。先輩達の最後の大会。嫌いな先輩もいるけど、最後だし。応援してやるか。
 水泳の大会の朝はかなり早い。さらに真面目な校風もあり、始発電車に乗らなきゃならない。4時起きとか…。
 悩んでいても仕方がない。今は明日の大会に集中しなきゃ。明日に備えて早く寝よう。俺は深い眠りについた。
 この大会が俺のガンプラバトルに大きな影響を与えることも知らずに。