「無理すんなよ」


携帯に向ってささやいてみる


今は昔みたいに24時間隣にいることはできないから


無理すんな


たのむ













「なに?」














起こしちゃった


ごめ


「なんだって?」










うん


無理すんなって言ったんだよ










俺の言葉にツッコミ気味に


「お前こそ無理すんな」


「睡眠不足の自慢ができんのは20代までだ」


「さっさと寝ろ」


鼻にしわを寄せ


唇を尖らして悪い顔を作る


ああ


この目


この目が











ヤツが布団をポンポンたたく


これは"もっとそばに寄れ"の意味


口調はアレだけど、な


かわいいヤツ


体をすり寄せると


ギュッ


羽交い締めにされた


覚えてる


懐かしい


この体温


筋肉質な上腕


意外と厚い胸板


俺は目を閉じてジェジュンの匂いを思いっきり嗅いだ


俺は全部覚えてる


あぁ


お前は全然かわらない


あの頃のまま


今、ようやく手にいれた


お前は永遠に俺の・・・


なんだ


その


なんちゅーか


うんと


その


・・・・・・・


あれ


寝ちゃったの


おや



はぁ


じゃ


(  ˘з˘)


そう言うことだ

















おはようございます


記念日の今日はちょっと寒いくらいの朝でした


今、庭に鶯が来てます


春と夏の端境


いい季節です


みなさまもお元気でお過ごしください


2017/06/10


ブラボー









自分をせめるクセは昔から


俺はお前のせいじゃないとかなんとか


慰めるつもりで言ったのに


「俺に優しくしないでよっ」


「俺が悪いんだ」


「俺が熱出せばよかった」


「ユノのバカ」


なんで俺が怒られるのか


今ならわかる


けど


当時若かった俺は


シャクにさわった


「あ、なんか俺まで熱が出てきたかも」


自分の額に手をあて


チロっとヤツを眺めても


"あーあ"と言った目で俺をみるだけ


俺に対しては全然優しくなかった


弟たちには暑苦しいほど干渉するのにな


その理由も今ならわかる


でもあの頃の俺は全然気づきもしてなくて


だから


俺は


その度


傷ついて


イラついて






あの時も


だから


衝動的に


ヤツの後頭部を引き寄せ


オデコとオデコをくっつけた


「どう?熱あるだろ?」


ジタバタ、もがく、もがく長兄


「バ、バ、バカっ!」


ヤツは茹でダコみたいに真っ赤だった


耳や首まで真っ赤


振り払おうとすればなおさら俺も力が入る


睨み合いながら


手と手を握り合って


アマレスの組みあいみたいになった


ガンっ!


ヤツが俺の顎に頭突き


「・・・っ!」


うずくまって痛がる俺に


「大丈夫かっ?」


差し出された白い手


ヤツの手をギュッと掴み立ち上がる


と、その拍子にグラっとよろけた


咄嗟にお前は俺を抱きしめ



あったか














「ゴホン」


わざとらしい咳払い


その方向に顔を向ければ


背の高い末弟が腕を組んでる


無表情


コワイ


「次兄、出番です」


あー









くすっ


そうだ


そんなことがあった


あれは何年前だ









気づけば


光を失った画面


「無理すんなよ」


携帯に向ってささやいてみる


今は昔みたいに24時間隣にいることはできないから


無理すんな


たのむ




何年も前の話


俺たちは五人組


忙しく仕事をしていた


ある日仕事中に四弟が体調を崩した


そして長兄と俺がもめそうになったその時




トントントン


優しく俺の肩をたたく三弟


「薬、買ってくる?」


「一人で大丈夫?」


「外国なのに」


長兄の心配顔に、三弟はウィンク


「オッケーベイベー」


その微笑みに


うん、


俺たちは同時に頷いた


優しいオトコ


なのに、実はここ一番頼りになる三弟


状況に飲み込まれることなく


今できることを探す


絶妙のバランス感覚


彼の笑顔がもたらす安心感


そうだ


慌てちゃダメだ


俺も落ち着いて


よし


段取りが決まった


三弟が買い出しに行く


戻ってくるまで個別の仕事


まず末弟


次に俺


で、長兄


五人揃ったら先に全員のカットを撮って


できるだけ早く帰れるように


四弟に負担が少なくなるように


そして明日はなんとか病院に


全ての段取りを整え


三弟は買い物に


末弟は撮影に








キレッキレに踊っていた四弟だったけど


よくみれば顔は真っ赤で、目も充血していた


"そういえばなんかフワフワするっていうか、クラクラするっていうか"


"でも大丈夫"


そんなことを言ってた四弟も


パイプ椅子を並べた即席長イスに横たわると


速攻寝息


いつもうるさいくらい歌っている四弟が寝ている


三弟は買い物に行ってしまった


末弟は撮影


撮影所はガヤガヤしているのに


ちょっと静かなようなさびしいようなへんな気持ちになった


休ませるためにそばを離れよう


そばにいたがる長兄の手をひっぱる


「いつから?」


「なんで俺、気づかなかったんだろ」


「大丈夫なわけがないよ」


「苦しそうだよ」


「俺、兄なのに」


って


涙目だった


そう


長兄の自分をせめるクセはこの頃から


人の痛みを自分のことのように感じる


感受性の強さ


だから


守りたい、


守らなきゃ、


俺は思ったのかもしれない


はじまりだったのかもしれない















まだ続きますよ


また明日


ばいなら〜〜