将棋と音楽の日々 -3ページ目

ザベスト(続き)

長くなったので分けました

続きです


       途中図10

モザイク 途中図10

45同角、b同桂、54銀、74玉、76香、75角合、同香、同銀、65銀、63玉、64歩、同銀、54銀74玉、96角、85歩合(途中図11)

b45同飛車は54銀、74玉、76香、75角合、同香、同銀、65銀、63玉、64歩、同銀、54銀、74玉、63角、同金、75歩、同銀、65銀まで

33の桂馬が45に跳ねてきました

途中図1で述べたように桂馬さえ持駒にできれば詰むのです

ゴールは見えました


       途中図11
モザイク 途中図11
85同角、84玉、67角、74玉、75歩、同銀、65銀、63玉、64歩、同銀、45角、同飛、54銀、74玉、66桂まで145手
最後の角の捌きです

45角でとうとう桂馬を手に入れました

初手は66桂馬でした そして最終手も66桂馬です


       詰上り図

モザイク 詰上がり図

銀の斜め運動と角のダイナミックな動きが印象的ですね

前回紹介した持駒変換(ここでは香と角の交換)を交えて実にロマンチックな作品に仕上がってます

創造力と構想力、さらに確かな技術がなくてはこの作品は決して作れません


昭和50年看寿賞長編賞



今日の曲


Laurindo Almeida with MJQ  ”One Note Samba"


http://www.youtube.com/watch?v=W-9OrHd6QdM


バックで演奏しているのがモダンジャズカルテット

ミルトジャクソン(vibes)は以前このブログに出ましたね

こんな古いのが好みなんですw

イギリスBBCの番組のようです

ザベスト

前回に引き続き上田作品を鑑賞しましょう

他にもたくさん好きな作家や作品はあるんですけど、もったいぶるのは嫌いなので好みの作品、最高の作品からどんどん紹介していきます

ということで上田作品の中でも最も美しい「モザイク」を選びました

145手と長手数なので途中図をたくさん載せました

是非手順を追ってみてください


では始めましょう


モザイク 出題図

持駒がたくさんありますねw

そこはちょっと我慢していただいて手順を追ってみましょう

66桂、同銀、63銀、同玉、62桂成、同金、54銀、74玉、76香、75角合(途中図1)

75角合のところで金銀合は取って85に打って詰みですね

桂合は同飛、同銀、66桂まで、香はすでに4枚盤面にあります


        途中図1
モザイク 途中図1

進めます

75同香、同銀、56角、65香合(途中図2)

65桂合なら同角、同歩、同銀、63玉、64歩、同銀、54銀、74玉、66桂で詰みます

「桂馬が手に入れば詰む」これがポイントです

でも玉方は桂馬を合駒してくれません


         途中図2
モザイク 途中図2

65同角、同歩、同銀、63玉、64歩、同銀、54銀、74玉、76香、75角合(途中図3)

途中図1とよく似た局面になりました


       途中図3
モザイク 途中図3
75同香、同銀、65銀、63玉、64歩、同銀、54銀、74玉、96角、85歩合(途中図4)

歩を消費しながら双方の銀が斜めに往復運動していますね

こう着状態のようですけど、さにあらず

96角が局面打開の一手です

ここからの角の運用にご注目


       途中図4
モザイク 途中図4
85同角、84玉、58角、a74玉、75歩、同銀、65銀、63玉、64歩、同銀(途中図5)

aで93玉なら95飛、94歩合、83香成、同玉、94角以下詰
角を58に引いてまず銀を狙います

       途中図5

モザイク 途中図5
36角、同角、54銀打、同角、同銀、74玉、75歩、同銀、65銀、63玉、64歩、同銀、18角(途中図6)

54を守るためには角で取らなければなりません

54銀打ちでまた角が手に入りました

途中図6の18角が巧打で合駒をききます 香合が最善です


       途中図6
モザイク 途中図6
27同角、同歩成、54銀、74玉、76香、75角合、同香、同銀、65銀、63玉、64歩、同銀、54銀、74玉、96角、85歩合(途中図7)

香車を手にしてもう一度76香に角合、また持駒が角になりました

香が角に、角が香にと持駒がくるくる代わっていきます

96角に85歩合、これ途中図4で出てきましたね



        途中図7
モザイク 途中図7
85同角、84玉、49角、74玉、75歩、同銀、65銀、63玉、64歩、同銀、27角、36香合(途中図8)

と金を狙って角を49に引き27角に36香合です


       途中図8
モザイク 途中図8
36同角、同歩、54銀、74玉、76香、75角合、同香、同銀、65銀、63玉、64歩、同銀、54銀、74玉、96角、85歩合(途中図9)

角を稲妻のように使って右の駒を次々に払っていきます


モザイク 途中図9

       途中図9

85同角、84玉、58角、74玉、75歩、同銀、65銀、63玉、64歩、同銀、36角、45香合(途中図10)

めまぐるしく角と香の交換が行われてきました

詰上がりが見えた方もいらっしゃると思います

大団円まであと一歩です



名作紹介

今回から詰将棋の名作・傑作を紹介していきたいと思います

古今名作と呼ばれている作品は多数ありますが、ここではわたしの個人的な好みで選んでいきます^^

短編作品だけでなく中篇や長編も取り上げますが、途中図を出来るだけ入れて解説しますので、お付き合いください



最初は上田吉一氏の塚田賞(近代将棋誌の最優秀賞)初受賞作品を紹介します(昭和47年)

上田氏は先日の解答競争作のところでも少し書きましたが当代随一と言ってもいい超一流作家です

その論理的かつ美しい作品には多くのファンがいます

わたしも大好きなのでこれからも何度かご出演願うことになると思います^^



では出題図を見てください


       出題図

上田作 塚田賞1

持ち駒は角1枚です 初手は角を打つしかありません
3方向から打てますがどれが正解でしょうか?


71角、62飛合、同角成、同歩、55飛、54香合(途中図1)

71角が正着で金、銀、桂合は1手詰ですから飛、角、香から選びます

飛車合が最善の合駒ですがその理由は手を追っていくと解ります

     

       途中図1

上田作 塚田賞2

香を合駒した局面です

ここから54飛、63玉、53飛成、同玉、55香、54角合(途中図2)と進みます


       途中図2
上田作 塚田賞3
さらに手を進めます

54香、63玉、53香成、同玉、31角、42飛合(途中図3)


       途中図3
上田作 塚田賞4

出題図から16手かかって61歩が62歩と文字通り一歩進み、持駒も角に戻りました

初手71角にもし角合や香合をすると正解手順より早く途中図3に進んでしまいます

さて31に角を打ってまたもや飛車合い・・・ということは?

そう、そのとおりです!! 同じ手順が出現します

つまり持ち駒を角ー飛ー香ー角・・と変換させながら少しずつ局面を変えていくのです


42角成、同歩、55飛、54香合、同飛、63玉、53飛成、同玉、55香、54角合、同香、

63玉、53香成、同玉、35角、44飛合(途中図4)


        途中図4
上田作 塚田賞5
少し長い手順を書きましたが、ほとんど同一手順ですから大丈夫ですよね

いよいよ3方向目の35角打ちです

飛車合をしてまたまた同じ手順が現れます
玉方はこの合駒の順が最長の抵抗なんですね


44同角、同香、55飛、54香合、同飛、63玉、53飛成、同玉、55香、54角合、同香、

63玉、53香成、同玉(途中図5)


       途中図5
上田作 塚田賞6
さあいよいよ収束です

42銀、同玉、43歩、41玉、32角、31玉、22と(途中図6)
43歩に同玉は21角で早詰です

詰みまであと一歩


       途中図6
上田作 塚田賞7
22玉、33香成、11玉、12角成、同玉、23角成、11玉、22馬まで63手

玉の動きをコントロールしてきた軸駒の45角を最後に捨てて見事な収束です



いかがでしたでしょうか

合駒を取りながら持駒を変えていく手法(業界用語で持駒変換と言いますw)は、この作品が史上初なのです

初めての試みでこの完成度ですから文句なしの塚田賞(長編賞)受賞でした

くり返し手順も美しく、音楽を聴いてるような感じがしますね

現在でも十分鑑賞に堪えうる作品、まさに不朽の名作でしょう





今日の曲です

RADOJKA  ”The shadow of your smile”

http://www.youtube.com/watch?v=pOnazErHmgE


今ではすっかりボサノバのスタンダードナンバーとなりましたが、元は映画「いそしぎ」の主題曲でした。で、この曲も邦題では「いそしぎ」と呼ばれています

ところでどこの国のTVビデオなんでしょうね?全然分かりませんw


ギターがいい味を出してます