エネルギーで開業するずっと以前、不思議な体験をしました。
それは観光旅行で行った岬の洞窟でのことです。
旅行の同行者がたまたま用事で宿に戻り、私ひとりになりました。
私は洞窟の外にいたのですが、引き寄せられるように洞窟の中の祠のまつられている、さらに右奥の隅の方に入っていきました。
普段なら一人でそんな薄暗い洞窟の奥までは入らないのですが、
なぜかその時はためらうことなく入っていき、奥に座ったのです。
そこには座り心地の良い岩があり腰掛けるように座ると、
背中の岩もちょうど良い背もたれになっていました。
その座り心地の良い岩にゆったり座り目を閉じてしばらくすると、
真っ暗だっ目の前が真っ青になり、
それまで感じたことのない強烈な「癒された」という気持ちになりました。
その時の私は優しさに包まれていました。
本当に優しく包みこまれていました。
初めての感覚です。
岩と自分と、その癒してくれた何ものかが一体化したと感じました。
あまりの心地良さに涙ぐんでしまいました。
どのくらいの時間が経過したのかは全く分かりません。
やがて、ぐわっ!と後ろに引き込まれていきそうになりました。
背もたれがあるのに、後ろに倒れこみそうな感じに襲われ、ハッ!としました。
「こんなことしてられへんわ。飛行機に乗り遅れるわ!」と思い、
急いで洞窟の外へでました。
観光地なのに、その時は誰も洞窟に入って来ませんでした。
外にも誰もいませんでした。
同行者は私を探しに洞窟の中に入ったけれど私を見つけられなかったとのことです。
何度か探したけれど、私はいなかったとのことです。
見当たらない私を、同行者と一緒にご自分の車で探してくれた
ご親切な宿の女将さんが、バスに間に合うように送ってくださって、
予約していた飛行機にも乗れて、無事に帰路につけました。
前夜に星空を見る為に車道をしばらく歩いたのですが、
その洞窟付近を歩いた行きと帰りに、
理由なく胸が苦しかったのを後で思い出しました。
この不思議体験は、いったい、どういうことだったのか確かめたくて、
数ヶ月後に再度その洞窟に行ってみました。
その時には座りごごちの良い岩も背もたれも無く、
じめじめと居心地の悪い空間でした。
台風で洞窟の中の様子が変わったのかもわかりません。

「ある洞窟での体験2」へ続く
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