爽やかな風と緑の匂いが鼻先をかすめる。

キラキラと瞼の裏まで届く眩しさにうっすらと目をあける。

目の前には色とりどりのガラス細工で出来た赤ちゃんをあやすためだろうおもちゃが吊されていた。
寝ぼけてうまく回らない頭で考える。


『…ぇーと…ココドコだっけ?』


とりあえず、あたりを見渡すと、そこは、先が見えないほど高く伸びた垣根が体育館ほどの大きさで四角く囲っている場所だった。




体育館ほどもある大きさのそこにある、ダブルサイズのベット。
その上でイマイチ働かない頭のまま今の状況を考えてるこの子は…アリス。18歳。
外見は幼く、15歳位にしか見えない。
がさつで口が悪く幼い以外は何とも普通。

アリスの眠るベットの周りは腰ほどの浅い柵で囲んであった。

(ベット?…ってでかいだろ!!)

ふとそんな考えがよぎる…
遥か高い天上からは床まで照らすほどサンサンとした光りが降り注いでいた。

全くもって見覚えのない現実離れした空間で独り寝転がる。
寝転がった布団の感触、光の暖かさ、全てがみょうにリアルだった。


(夢…だ、よね…?)

アリスはそう考えてさっそく2度寝をきめこむ。

(…妙にリアルで変な夢…まぁ、いっか)

まどろむ意識の中でふとそんなことも考えたが、再び現れた睡魔によってそんな考えも一緒に眠りの底に引きずられる…。

どのぐらい寝ただろう…。
眠気もすっかり消え、大きく伸びをし、目を開ける。
朝が来たんだと思った目に映ったのはキラキラと輝くガラス細工と緑の垣根だった。

(…ん?どういうことだ?)

体を起こし辺りを見渡す。寝る前と変わらぬ景色、光。
どのくらい寝てたかはわからないがそんなに短いはずもない。

ここは朝しかないのか?

アリスはベットのさくから身を乗り出して下を覗いてみた。

不思議とアリスは恐怖や不安を感じなかった。むしろ不思議な空間に興味がわいていた。

(なんか面白そーだし、ちょっと冒険してみよ☆)

ワクワクした気持ちを止めることが出来ずに、ベットのさくを乗り越え2階ほどの高さのそこから飛び降りた。