流通大柏vs県立津工業
試合前の流通大柏は大前が体調崩しているとか、
主力選手が怪我で出場できないとか、やや不安があった。
でも大前 元気 だった。
4得点に1アシスト。
一挙に通産5得点で得点王候補になった。
柏は強かった。
夢の終わりは、ほろ苦かった。津工は初めての国立で0-6の完敗を喫した。「どれだけすごいのかと思って試合をやったら、本当にすごかかった」。主将のMF花木は、力の差に打ちのめされた。
自慢の攻撃サッカーは、全日本ユース覇者の流経大柏には通じなかった。リスクを伴うが中盤でパスをつないで攻めるのが津工のスタイル。しかし自陣で素早いプレッシャーを受けてボールを奪われ失点を重ねた。
「すごく残念だけど、ここまで来られたことは誇りに思う」
変幻自在のドリブルで攻撃をリードしてきたMF松葉に悔いはない。津工のスタイルを貫いたからこそ、いい夢を見て悪い夢も味わった。昨冬、新人戦で三重県大会初戦負けしたチームが、夏は全国高校総体に出場、最後の全国選手権でベスト4と、戦うステージを着実に上げてきた。
「このサッカーが全国で通用する確信ができた。“普通”の高校生が集まって、だれでもできるサッカーが、このスタイルだと思っている」と藤田一豊監督(51)が成果を話す。
県立藤枝東vs高川学園(元多々良学園)
同じタイプの学校で強豪
藤枝東に伝統の重さがあった。
古豪・藤枝東(静岡)が背番号10を背負うU-18日本代表候補MF河井陽介(3年)の活躍で、高川学園(山口)を1-0で破り、34大会ぶり7度目の決勝進出を決めた。4試合連続ゴールの河井は、得点王争いでも2位タイにつけ、決勝では流通経大柏(千葉)の10番を背負うFW大前元紀(3年)との、エース対決に挑む。
またも河井の右足が火を噴いた。前半11分、ゴール前で細かいパスを回し、FW松田から河井の足元に絶妙なラストパスが転がってきた。迷いなく右足を振り抜いた河井のシュートは、強烈な弾道でゴール左隅に突き刺さった。
値千金の決勝弾。だが背番号10は「時間も早かったし、シュートで終わろうと思った。みんながパスを集めてくれるし、いいボールがくる。感謝してます」と、開口一番チームメートへの感謝の言葉を口にした。
これで4試合連続の4得点目。得点ランキングも大前に次ぐ2位タイに浮上した。大前の得点王3冠達成を防げるのは事実上、河井しかいない。「(3冠を)止められればうれしいけど、チームが勝つことが一番。優勝だけは渡せない」。ゴールを決め10番対決を制することが、チームを頂点に導くことは自覚している。
「リベンジを果たしたい」。流通経大柏には大きな借りもある。夏の高校総体3回戦で対戦し、0-1で敗戦。さらに夏の遠征で2度対戦し、いずれも大敗している因縁の相手だ。
組み合わせが決まってからも、宿敵だけを見ていた。反対のブロックのため当たるのは決勝しかなかった。「意識はしてました。絵に描いたようなストーリー。こんなにうまくいくことはない」と、千載一遇のチャンスに燃えている。
さらにサッカー王国復活もかける。静岡代表の決勝進出は95年度の74回大会の静岡学園以来、12大会ぶり。「総体も全日本ユースも千葉に持って行かれている。選手権だけは静岡に持って帰りたい」。伝統のふじ色を身にまとい、なんとしても日本一の座を手中に収める。



