熊本駅前バス停から九州産交バス「やまなみ」号で2時間半。
途中、アーデンホテル前駅で休憩はあるもののかなり時間がかかります。

 

※JR豊肥本線は熊本地震の影響で阿蘇~肥後大津までが不通になっているためバスでの移動が無難です(2020年中に復旧予定)

 

 

朝が早かったのでウトウトしたりぼんやりしていたら思ったほど早く着きました。
途中で見える、阿蘇の山道の景色はきれいでした。
最寄りの宮地駅で下車。徒歩10分ほどで阿蘇神社に到着です。

 

 

 

■阿蘇神社(肥後国一之宮)

国造速瓶玉命が孝霊天皇9年(紀元前281年)に創建。

速瓶玉命は初代の肥後国の国造(今で言う熊本県の事務方のトップ、助役?)になった人で、阿蘇神社の大宮司を務める阿蘇氏の祖先となった人でもあります。
今の大宮司さんは92代目だそうです。

 

■楼門

全国的にも珍しい横参道を歩いていると、楼門が見えてきました。
楼門は熊本地震で倒壊、耐震強度が不足しているとのことで、
2020年の復旧に向け、コンクリートの基礎に免震ダンパーを設置する工事を行っていました。

 


■仮拝殿

拝殿は楼門と同じく熊本地震で倒壊したため、現在は2022年の再建を目指して工事中。
工事はこれから本格化するため、本殿が直接見える形で参拝できるのは今年が最後です。

 

 

■本殿

向かって左が第一本殿。速瓶玉命の父親の健磐龍命と速瓶玉命の男性の親族5柱が祀られてます。

向かって右が第二本殿。母親の阿蘇都媛命と女性の親族5柱が祀られています。

真ん中は第三本殿。速瓶玉命と綏靖天皇と全国の式内社祭神3132座が祀られています。

 


本殿を背にして(御祭神が向いている方向を基準に)右側に第一本殿、左に第二本殿があるのは右尊左卑の考え方で、即位礼の際での、天皇陛下と皇后陛下の位置にもそれが反映されています。

 

ちなみに、縦書きで文章を書く地域は右が優先されます。

これは順位付けをして人名を書くときに最高位の人が一番右に記されることによるもので、
横書きで書くヨーロッパは最高位の人が一番左に記されるので左が優先されるそうです。

 


■とんど焼き

燃えた竹が破裂する音が聞こえたので、気になり行ってみると、とんど焼きをしていました。
歳神様を天に帰っていただくために、しめ縄などの正月飾りを焚きあげる行事。
私の実家の近所でもやってたのですが、煙や騒音の苦情が来たと聞いてます。
昔から続く風習を守り続けるのも大変です。

 


■矢村神社(矢内社)


阿蘇神社の周辺を矢内町と言います。
健磐龍命が阿蘇開拓の拠点となる館を立てる際に、最適な地を選ぶため、坂梨の矢の島というところから矢を放ったことに由来するとのことです。
放った矢は矢村神社ある、この場所に落ち、ここに「浜の館」という屋敷を構えたという伝承が残ってます。

 

 


阿蘇神社から国造神社へ、、、

阿蘇神社の正面は住宅や商店が立ち並んでいるのですが、本殿の裏側は田園地帯です。
区画整備で整えられた直線の道ではなく、昔からありそうな曲がりくねった道を進みます。
歩るいていると気づくのが大量の湧水が流れる音と、あちらこちらにある神社。

 

 

 

普通の家の前に鳥居があり、母屋の隣に祠がある神社もあります。

 

阿蘇神社の社伝によると、阿蘇神社の辺りはかつては湖水だったようで、
健磐龍命が灌漑事業を成功させて農地を拡大させたとのことです。
そのあとを継いだ速瓶玉命は、父の業績のお蔭で初代の肥後国の国造になったともいえるので、偉大な両親を祀る神社を創建したのかもしれません。

 

 


歩いてみると阿蘇神社は阿蘇の外輪山の真ん中付近にあることに気付きます。
阿蘇神社から南には奥宮である阿蘇山の火口があります。
阿蘇神社から奥宮までと同じ距離を北にいくと国造神社があります。
本殿は東を向いて建てられているので、太陽が昇る方向を向いています。

 

 

■国造神社


速瓶玉命とその妻と子供が祀られてます。
阿蘇神社にお参りして立ち寄る人が多いのか、参拝客もちらほら。

 

 


この地域の近くには県内最大規模の長目塚古墳がある中通古墳群があり
阿蘇神社の社伝では健磐龍命と阿蘇都媛命のご陵墓があるそうです。

 

 

■手野の大杉


速瓶玉命のお手植えという伝承が残っている杉で、かつては国の天然記念物にも指定されていたそうです。
平成3年の台風19号の影響で主幹が地上11メートルあたりから折れてしまい、それが原因で枯れたそうです。地元の有志が保存活動をして現在の姿で保存されています。

とにかく大きいです。

 

■下御倉古墳

国造神社の鳥居の向かいにあります。

阿蘇国造に連なる有力者の古墳と考えられています。

 

 

■上御倉古墳


速瓶玉命の神陵と伝えられており、下御倉古墳から少し坂を登ったところにあります。
規模は先程の下御倉古墳よりも大きく、倒木の危険があるため立入禁止でしたが、

普段であれば石室の中まで入れるようです。
(なんとも恐れ多いことです、、、)

 

 

 

■阿蘇市一の宮温泉センター

せっかく阿蘇まで来たのだから、締めくくりは温泉にしようと楽しみにしていました。
隣はデイケアセンターになっており、お年寄りの憩いの場的な感じでした。
入泉料は200円、石鹸はありましたがシャンプーは無し。

タオルの貸出や販売はしていなとのことで、注意が必要です。

 

 

 

一之宮を巡っていると神話と歴史の垣根の曖昧さを感じます。

実話ではないにせよ、モデルになった話があるんじゃないかと妄想することがあります。

父親の健磐龍命の業績をたたえるために阿蘇神社を創建した速瓶玉命が実在したなら、本当に親孝行な息子だったんだなと思います。

(とんど焼をしていた人たちはその時、阿蘇を開拓した人の子孫かもしれません)

 

阿蘇山を越えて南には、大宮司の阿蘇氏の領地だった山都町があります。

速瓶玉命の人間臭さを感じながら、次はそこにも足をのばしてみたいとふと思いました。

 

 

 

日本全国の一之宮をフラフラ巡っています。ほかの神社の旅はこちらでニコニコ

 

 

 

A.宮地駅前バス停

熊本駅前バス停1番乗り場から九州産交バス「やまびこ号」大分行乗車 2時間30分

運賃1,140円

※JR豊肥線は、熊本地震の影響で阿蘇~肥後大津駅間で不通(2020年中に復旧予定)

 

B.阿蘇神社

所在地:熊本県阿蘇市一の宮町宮地3083-1

宮地駅前バス停から徒歩10分

 

C.矢村神社

所在地:阿蘇市一の宮町宮地3117

阿蘇神社から徒歩10分

 

D.国造神社

所在地:熊本県阿蘇市一の宮町手野2100

阿蘇神社から徒歩60分

 

E.下御倉古墳

F.上御倉古墳

 

G.阿蘇市一の宮温泉センター

所在地:阿蘇市一の宮町手野963-1

国造神社から徒歩20分

 

営業時間 10:00~21:30
定休日 第1・3火曜日

入湯料 大人200円

※タオルとシャンプーの貸出・販売はなし。石鹸のみあり。

 

H.宮地駅前バス停