鹿児島から実家の大阪まで新幹線で移動です。
今年は岡山で途中下車して備前と備中の一之宮に向かいました。

 

■吉備津神社(備中国一之宮)

吉備津彦命を祀る備中国一之宮
吉備国は大化の改新後に備前・備中・備後3つの国に分けられたので、それぞれの国に一之宮があり、すべての神社で吉備津彦命を御祭神として祀っています。

中でも吉備津神社はもともと吉備国の一之宮だったこともあり、三備一之宮とも言われています。

 

吉備津彦命は第7代孝霊天皇の第3皇子、日本史的には奈良時代の政治家である吉備真備を輩出した吉備氏の祖となった人ですが、
昔話の桃太郎のモデルといった方が分かりがいいと思います。

 

当時、吉備を根拠地として大和朝廷に抵抗していた温羅を討伐したと伝わっています。

 

 

社殿は国宝「比翼入母屋造(吉備津造)」というこの神社だけの建築様式、後光厳天皇の命により足利義満が建立したそうです。

 

本殿は外側から内側へ向けて徐々に床が高くなっていく独特な構造になっていて、その様子は拝殿からも見ることができます。

 

 

本殿に向かって右側にある回廊を進むと御竈殿があります。

 

 

 

この建物の下には鬼の首が埋めてあり、
その鬼が鳴らす釜の音で吉凶を占う鳴釜神事が行われています。
黒田官兵衛の書状や、雨月物語にもこの神事の記述があるそうです。
(受け付けは午後2時までとのことで中の様子は見れなかったですが、、、)

 

駐車場にある犬養毅の銅像、犬養氏は吉備津彦命とともに
朝廷から派遣された犬飼部の子孫でこの地域の大庄屋さんだったそうです。(門前の「吉備津神社」の石碑も犬養毅の揮毫です)

 


吉備津神社を出て吉備津彦神社へ

海沿いに現在の町の中心部があり、内陸部に一之宮がある点で
どことなく都農神社に似た雰囲気のある場所でした。

(一応ここは岡山市北区なんですが、、、)


昔の海岸線は今よりも、もっと内陸にあったはずなので、
当時は海に面した交易の盛んな豊かな地域だったのかもしれません。
日本で4番目に大きな前方後円墳(造山古墳)もこの近くにあります。

 

 

 

■福田海本部(鼻ぐり塚)
道なりに進むとお寺らしき建物の前に「鼻ぐり塚」と書かれた看板がありました。
お寺のらしき名前はみあたらなかったのですが、妙に気になったので寄り道をすることにしました。
後から調べるとこのお寺は福田海(ふくでんかい)といい、明治33年に中山通幽という人が始めた宗派とのことです。

 

鼻ぐり塚は屠殺された牛を供養するためのもので600万頭分の鼻輪(鼻ぐり)が全国から集められています。

その量に圧倒されてしまいます。
(ウルトラマンエースにここの鼻ぐりを盗んで、牛の怪獣になってしまうというエピソードがあるそうです、、、)

 

 


■赤木格堂・平賀元義句碑

岡山県にゆかりの深い2人の歌人の石碑

 

赤木格堂

「名月や 草よりおこる 笛の声」

 

赤木格堂(1879~1948)は東京専門学校(早稲田大学)在学中に正岡子規の門人となった人。将来を嘱望されたが子規没後は俳壇から身を引き、フランスへ留学、その後、大正6年には衆議院議員、新聞主筆をつとめた。

 

平賀元義

「吉備津彦 神の社の もみぢ葉は 弥ますますに 色濃くなりぬ」

 

平賀元義(1800~1866)は幕末の万葉調歌人。岡山藩の藩校で学んだのち脱藩。吉備津彦神社に滞在し和歌を探求した。
のちに赤木格堂が正岡子規に紹介し、「新聞日本」で子規が絶賛し全国に名を馳せた。

 

 

 

 

■吉備津彦神社(備前国一之宮)

吉備津彦命は御神体の「吉備の中山」の麓に住んでおり、死後は「吉備の中山」に葬られました。(御陵は宮内庁が管轄)
吉備津彦の館の跡地に建てられたのが吉備津彦神社という伝承が伝わっています。

 

 

 

夏至の日には、正面鳥居から日が差し込んで祭文殿の鏡に当たる造りになっているため「朝日の宮」とも呼ばれています。

 

 

参道を進むと大きな池があり(浄土式庭園?庭園には詳しくないので、、、)橋を渡ると随身門があります。

 

随身門の前にあるのが大灯籠、高さが11メートルで日本で一番大きな石灯籠とのことです。
筥崎宮にも海岸沿いに灯台として使われた大灯籠があったので、昔の海岸線はこの神社の近くにあったのではと妄想。
(ただしこの大灯籠は幕末に建立されたものだそうです)


両方の神社が「吉備の中山」を御神体としていることもありますが、

一之宮がこれほど隣接していることは初めてです。
吉備の人たちにとって、それくらい外せない場所だったんでしょう。
周辺には先ほどの福田海のほか黒住教の本部もあり、時代を越えて神聖な場所として捉えられているようです。

 

 

■岡山城

軽い気持ちで岡山に来ましたが、まだ見どころが残っている感じです

(備中高松城、鬼ノ城、盾付遺跡 etc...)

岡山県の一之宮はまだ2社残っているので、次はもう少し腰を据えていろいろ回ってみようと考えています。

 

 

 

日本全国の一之宮をフラフラ巡っています。ほかの神社の旅はこちらでニコニコ

 

 

 

 

 

A.吉備津駅

 

B.吉備津神社
所在地:岡山県岡山市北区吉備津931
JR桃太郎線 吉備津駅(徒歩10分)

 

C.鼻ぐり塚(福田海本部)

岡山県岡山市北区吉備津795

※拝観は護摩木料として100円が必要

 

D.吉備津彦神社
所在地:岡山県岡山市北区一宮1043
JR桃太郎線 備前一宮駅(徒歩3分)

 

E.備前一宮駅