キズパワーパッドというばんそう膏が 傷が3倍早く治る と宣伝されて市販されています

15年以上前 大学の外科の抄読会(勉強会)の際に湿潤療法の理論を紹介した外国の文献を読みました

当時の周囲の反応は『なんじゃそれ』という感じであまり反応がありませんでした

外科をしていた時に傷のきれいな治し方に興味を持っていたというのは、それも現在の美容診療につながっていたのでしょうか?

アルミホイルを使ってイソジンゲルによる湿潤療法(本当は消毒剤が入っていないほうがよい)で指先のケガを治療していたのを思い出します

今の保険診療のしくみはよく知りませんが、当時は通院回数によって病院の収入が決まっていたので、保険適応のない高額な材料を使って、しかも通院を少なくするということは現実問題として難しかったということもありますし、傷を消毒しないという今までとはまったく正反対の治療法でしたから、湿潤療法の急速な普及は難しかったのだろうと思います

その後、外科から美容外科に転身し、働いていた頃、患者さんが指先のケガをして

骨を削って皮膚を縫い合わせる断端形成という処置をすすめられていました

その時保険診療で湿潤療法を行っている病院を紹介して、そこで断端形成せずに湿潤療法で治療し、指先が短くならず元通りに治ってとても感謝されました

もしころんでケガをして擦り傷にアスファルトなどの異物が入った場合には必ずすべてきれいに取り除いておくことが必要です

さもないとばい菌がついたり、治っても外傷性刺青という異物が残ることによる刺青になってしまいます(よく相談に来られます。Qスイッチレーザー治療を行います)

その後は湿潤療法です

夏目 睦 医師が一般向けの本も書いておられますので興味のある方は読んでみてください

しかし湿潤療法をずっと行っているとわかるのですが、うまくいかないことも実際にはあります

何にでも例外はあります

うまくいかないのに自己処置だけを続けるというのは禁物です

ケガやヤケドをした場合も美容治療を受ける場合も湿潤療法に詳しいクリニックにかかりましょう