を、今日、読んだ。
10年前にベストセラーで超話題になったときにも買って、
読んだんだけど(当時中学生)、
あからさまな性描写が受け入れられずに最初の10ページくらいで
挫折した記憶がある。
でも、いま、いろんな恋愛経験、人生経験を重ねたうえで読む「朗読者」は、
私の琴線に触れまくる、味わい深い小説だった。
読んだあと、普通に道を歩いていると、
自分の五感がすごく鋭くなっていることがわかって、
いつもは何にも感じないようなパン屋の値札とか、
自転車屋さんから聞こえてくるラジオの音とか、
公園で遊んでいる子供とか、ひとりでぼーっとしている人とか、
もう、いろいろ私の中に入ってきてしまって、
ほんとに大変だった。
この小説は、
かなり年の離れた年上女性との恋愛とか、
ナチスドイツの話とか、
なぜ人を悪いと判断できるのかとか、
まあいろいろと議論を湧きたてるような設定がある。
しかし、私は、
登場人物の心のなかの、感情の襞をうまく表現している心理描写に
心を奪われた。
抑制された、感情のコントロールのきいた文章。
でも、確実に内側には強い思いがあることが感じられるような。
大人の小説。
良い悪いではなく、ただ、こういう物語が現代に存在し得て、
しかもそれが世界的なベストセラーになったというのは、
世の中すてたもんじゃないなと思う。
Kazuo Ishiguroの小説も、私をこんな気分にさせる。
