「んー、いい天気」
開け放した窓からキラキラと陽の光が射し込んだ。
眩しいくらいの青空に、あたりいっぱいの新緑。
まさに森の中。
爽やかな風が新緑の香りを届けて、全身が癒やされる感じ。
久しぶりの感覚に気持ちも上がる。
ぐんと背伸びをして深呼吸して振り向くと、荷物をおろしたカズが俺を見てニコッと笑った。
「ふふ、気持ちよさそう」
「カズもほら、見てみろよ!すっげぇいい景色だから!」
自然とテンションも上がって、景色を見る俺の横にカズが並んだ。
眩しそうに目を細めて…ふたりしてしばらく、山の風にふかれる。
緑多い山の温泉街にふたりで旅行に来た。
世間一般で言うところの夏休みは、レストランはかき入れ時で、休めるわけもなく……いつもこうやってずらして夏休みを取るんだけど、
今年はカレンダー通りのカズの休みに合わせて取ったんだ。
一日有給を使ってくれて、金曜から3日間。
3日間、ずっと一緒に過ごせる。
_____
「夏休み、旅行に行かない?」
「え?」
夏休みの日にちを確認して、予定を立ててた夜、そろそろ寝ようかってときに
そんなふうにカズから言われて、びっくりしすぎて何も言えなかった。
咄嗟に黙ってしまって部屋に沈黙が走る。
「あ、なんか予定あった?それならいいのよ、もしよかったらって思っただけでさ、べつに無理なら」
耳を赤くして持ってたスマホに目を落として早口で言うカズをぎゅって抱きしめて、行く!って叫んだ。
「嬉しい……カズと旅行なんて、初めてじゃん」
「……たまには、ね」
基本、休みの日は家で過ごす派で……デートって言ってもメシ食いに行くとか、たまに映画とか……俺が誘って行くことが多かったから、
珍しいカズからの誘いが嬉しくて。
この日をずっと、ずっと待ちわびてた。
予定が決まってから、旅行会社に勤めてる友だちだったり、ライターやってる友だちだったり、それこそ旅行好きのやつだったりにいっぱいリサーチして、最高の場所を探した。
友だちは結構多い方だから、こういうときに頼れるのはありがたい。
せっかくのカズとの貴重な旅行だもん。
最高の思い出を作りたい。
インドア派なカズが自分から旅行に行こうなんて言ってくれるのはかなり貴重。
もしかしたら行きたい場所があるんじゃないかって思ってそれとなく聞いてみたら、
『じゅんくんと行けるならどこだっていいよ』
だって。
その一言に悶絶したんだった。
きっと変にアクティビティするよりも、
きれいな景色を見ながらのんびりするほうがいいんじゃないかって、
この山の宿を選んだ。
奮発して、部屋に露天風呂がついてるやつ。
喜んでくれるかな。
こうやって、誰かの喜ぶ顔を想像しながら準備することが、すげぇ好きで。
それが俺の喜びでもある。
特に、好きな人のためなら、より一層。
「すっごいね、なんかホント山の中〜って感じ」
「だろ?すげぇ癒やされる」
「若いときはさ、森林浴って何が楽しいんだろって思ってたけど、今ならわかるわ〜」
言いながらカズも大きく息を吸い込んだ。
「なんか違うね、やっぱ、空気が」
普段からキラキラした瞳が外の光を集めて余計に輝いていて、
ここに決めてよかったな、なんて思う。
リゾートホテルとして有名なこの宿は、どこに出かけなくたってここだけで満足できるくらいの施設。
カズにぴったりだと思うんだよね。
とりあえずゆっくりしようってことになって、座ってお茶を飲む。
露天風呂付きの和洋室。
ベッドのある洋室と琉球畳の敷いた窓際のスペースがあって、目の前に新緑が広がる。
畳の部屋も趣があっていいな。
「ごめんね、こんな時間になっちゃって」
「全然!逆にちょうどいい時間じゃない?ちょうどすぐチェックイン出来たし」
有給を取ってくれたって言ってもカズは多忙で、俺がカズの家に迎えに行ったとき、会社からの電話を受けてて。
急ぎで対応しなきゃいけない案件が入ったとかなんとかで…
午前中いっぱいパソコンの前で仕事してた。
友だちは結構多い方だから、こういうときに頼れるのはありがたい。
せっかくのカズとの貴重な旅行だもん。
最高の思い出を作りたい。
インドア派なカズが自分から旅行に行こうなんて言ってくれるのはかなり貴重。
もしかしたら行きたい場所があるんじゃないかって思ってそれとなく聞いてみたら、
『じゅんくんと行けるならどこだっていいよ』
だって。
その一言に悶絶したんだった。
きっと変にアクティビティするよりも、
きれいな景色を見ながらのんびりするほうがいいんじゃないかって、
この山の宿を選んだ。
奮発して、部屋に露天風呂がついてるやつ。
喜んでくれるかな。
こうやって、誰かの喜ぶ顔を想像しながら準備することが、すげぇ好きで。
それが俺の喜びでもある。
特に、好きな人のためなら、より一層。
「すっごいね、なんかホント山の中〜って感じ」
「だろ?すげぇ癒やされる」
「若いときはさ、森林浴って何が楽しいんだろって思ってたけど、今ならわかるわ〜」
言いながらカズも大きく息を吸い込んだ。
「なんか違うね、やっぱ、空気が」
普段からキラキラした瞳が外の光を集めて余計に輝いていて、
ここに決めてよかったな、なんて思う。
リゾートホテルとして有名なこの宿は、どこに出かけなくたってここだけで満足できるくらいの施設。
カズにぴったりだと思うんだよね。
とりあえずゆっくりしようってことになって、座ってお茶を飲む。
露天風呂付きの和洋室。
ベッドのある洋室と琉球畳の敷いた窓際のスペースがあって、目の前に新緑が広がる。
畳の部屋も趣があっていいな。
「ごめんね、こんな時間になっちゃって」
「全然!逆にちょうどいい時間じゃない?ちょうどすぐチェックイン出来たし」
有給を取ってくれたって言ってもカズは多忙で、俺がカズの家に迎えに行ったとき、会社からの電話を受けてて。
急ぎで対応しなきゃいけない案件が入ったとかなんとかで…
午前中いっぱいパソコンの前で仕事してた。