(side A)








「久しぶりに、5人で飲まない?」


て松潤からのメールで集まったのは、前にもみんなで集まったウッドデッキ。

懐かしいなー。何年前だっけ?前にもここで5人で飲んだんだった。


翔ちゃんの知り合いの別荘を貸してもらえるって言って、何年か前の同じ日にもここに5人で泊まったんだ。


なかなか5人で都合がつくことがなくて久しぶりになっちゃったけど……





あの時はみんなでごはんつくったりして、みんなで食べて。
オレは今ほど料理もできなかったから、主に松潤が中心になってくれて、それはそれで楽しかったんだけど、

今日はまあ今の状況もあって手作りじゃなくて、それぞれお気に入りの店でテイクアウトして持ち寄ろうってことになった。

自粛期間に発見した自慢の店をみんなで紹介しあったりして、
実際に食べてみたらすごく美味しくて!

ふふ、すごく楽しい!






この一年、5人で会う時間が減っても、5人で話す時間はとても増えて、
リモートってなかなか便利だなぁって思いつつ、
でもやっぱり実際会う方がいいに決まってる。

だから、今日のこの集まりを提案してくれた松潤に感謝!





「まつじゅーん、オレは、うれしいよー!みんなでのめてさあ」

「ほんとだよねぇあいばちゃん、おれもうれしいよー」

「りーだー、わかってくれるー?」

「わかるよ、わかりすぎるよぉ」

「オレさ、ほんとに……、あらしでよかったよ……」

「うんうん、おれも……」




「あー、また始まったよ、相葉くんのこれ」

「ふはは!これが始まったら次は……」

「もう落ちますね、じきに」







なんだよ、松潤も翔ちゃんもニノも、何言ってんだよ、

オレが、なんだって……?





「ほら、相葉くんそろそろ部屋に戻るよ、聞こえてる?」

「相葉くんが寝たからお開きってもう定番だよな!」

「まちゅじゅんー、おれもいっしょにかえるからー、まちゅじゅんと、かえるからー」

「はいはい、ほら、智いくよ」

「まあじきに目も覚めるでしょ、少し寝かせてから起こすから大丈夫、相葉さんは」

「ごめん悪い、よろしく」

「じゅんくんこそ大野さんよろしくね」








なにいってんだよぉ、まだのみたりないのに……

なんだよ……














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ぼそぼそと話す声が、遠くに聞こえて、
ふわふわっと意識が浮上するのがわかる。

寝てるような起きてるような、そんな感じ。

いつの間にか寝ちゃってたんだなー………。














「今年もこの日を一緒に迎えられて良かったよ」

「んふふ、そうだね……」

「そういや前に言ってたじゃん、ここで飲んだときに……」

「なぁに?」

「だからさ、最初から気になってたとかなんとか……あれって結局、いつのことだったの?」

「……知らない」

「言ってたじゃん、ずっと一緒にいたいって思ってたとか」

「言ってない」

「うそだぁ、だって……」

「…………。」

「………………。」














ちゅ。















ん?ちゅ?






こ、こ、これは……。やばいやつ……?

えーーーと。
やばい。なんかどんどん頭が冴えて来ちゃってんですけど。
ちょっと、待ってよ、いくらオレが寝てるからって、何してんの?
ど、どどどどどーーしよう!
やめてよ、これ以上エスカレートしないでよ?!するならどっか別のとこでしてよね??
うわーーどーしようどーーーーしよーーーーー!!!





って!
焦ってるオレの頬が急にギュってつままれて、

「いってーーー!」て叫んじゃった。

とっさに開けちゃった目の前に、ニヤニヤしながらオレを見る2つの顔が……




「翔ちゃん……、ニノ……」


「聞いてたでしょ」

「えっえっえっ、いや、オレ、べつにっ」

「なんかモゾモゾしだすし、顔は赤くなるし……」

「だからちょっとイタズラしちゃった、ごめんね相葉さん」



ニヤッと笑ったニノが自分の唇をすぼめて、チュッ、て音をたてた。



「もっもっもう!なんだよー!」

「だってすっごい聞き耳立ててんだもん、サービスしてあげたの」

「ごめんな、相葉くん」



なんだよこのバカップルーー!!くっそーー!



「オレっ、部屋に戻る!」



眉を下げてすまなそうにごめんって言う割には左手をニノの膝から離さない翔ちゃんを睨みつけてオレは言った。




どっちにしろみんなもう部屋に戻ろうってことになったから、簡単にそこを片付けて、2階へ上がる。

オレの部屋の前でおやすみーって別れるとき、
ニノはにっこり笑って言ったんだ。




「相葉さんもだよ」

「え?」

「ずっと一緒にいられますようにって思ってたの」

「ニノ……」

「相葉さんも、大野さんも潤くんも、みんな。ずっとこのまま、ずっと5人で……そう思ってたよ」



笑う顔が、きれいで、でも少し切なくて。



「ニノ!」


ぎゅうってニノを抱きしめた。

うしろで翔ちゃんがすっごい顔でこっち見てるような気がするけど、かまうもんか。



「嵐はさ、ずっと5人だよ。これからもずっと。だからさ、来年もこうやって集まれたらいいね」

「うん、うん……そうしようね……」

「大野さん、出てきてくれるかなあ」

「来るに決まってんじゃん、来なくてもオレが連れてくる、迎えに行くよ」

「うん……だよね」




いつの間にか翔ちゃんも合わせて、三人で抱き合ってた。
きっとリーダーも松潤も同じ気持ちのはずだよ。



形は変わってもさ、ずっと変わらない。

すっかり秋色になった夜風に吹かれながら、そんなふうに思った。














(おしまい)









あとがき(という名の言い訳)はまた夕方にでも……。