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「……、相葉さん!相葉さん!」
オレを呼ぶ誰かの声が、ゆっくりと頭に届いてきた。
閉じていた目をゆっくりと開く。
慌てた顔で、オレを覗き込む佐野くんの顔…
「あっ!気がついた!良かったぁぁー!!あいばさーーん」
半分泣きながらオレの肩を抱いてしがみついてきた。
ミンミンと響く蝉の声。
オレは、休憩してた木陰に横になっていた。
頭には濡れタオル。
首筋と脇に保冷剤。
「あれ…?オレ…」
「僕が戻ったら相葉さんがここで倒れてて…!ほんとすみません!!
僕がちゃんと見てなかったから!」
「いや…、え?オレ、倒れてた?」
「汗だくで寝てて…呼んでも全然起きないから…本当にすみません!!」
寝てた……、そっか、夢、か……。
半べそで謝る佐野くんに、大丈夫だから、と笑いかけながら、
なんとなく複雑な気持ちになっていた。
夢、か…。
どうやら、軽い熱中症になりかけてたみたいで、佐野くんもオレも、チーフマネージャーにしこたま叱られた。
それでも、体調的にもなんともないっていうことで、残りの撮影も無事に終えて、自宅に帰ってきた。
家に帰って風呂に入って、冷たいビールをプシュッと開ける。
この瞬間がたまらなく好き!
グビグビっと半分ほど一気に飲んだら、ピンポーンとチャイムが鳴った。
モニターを覗くと、夢にまで見た恋人が、カメラから目をそらして立っていた。
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