頭ん中が、ぼーっとしてきて…
ヤバいよ…このままじゃ…このままじゃ。
俺の俺が!
翔の翔が!
ヤバいよ!
俺も健康な男子高校生として、
こんなキスされちゃったら…当たり前に反応しちゃうわけで…。
そう、たとえ相手が潤だったとしても。
今まで、キスって当たり前に、自分からするもんだったから、
こんなふうにリードされるなんてことはなかったわけで。
だから、調子がくるってるっていうか…。
そうだ、そうに違いない。
こういうときは、そうだ、関係ないことを考えて!気を紛らわすんだ!
素数を数えよう。素数を。
2,3,5,7,11,13,17,19,23,にじゅう…にじゅう…はぁ…
ダメだ!気持ちよすぎる!
「んん…。ん…、はぁ……」
時々漏れる潤の声と濡れた音に煽られて…
力が抜ける。
カラダの力が抜けるのとは逆に、下 半身に…力が入るのを感じて。
ぴったりくっついてるから…お互いのソレがガッツリ当たってて…。
これ…ほんとに…やばい。
気力を振り絞って、腕を掴んで押すようにして唇を離した。
「お、おまえ…」
「しょおくん、俺…」
潤は、泣きそうな、というか…痛みを堪えているような、というか……なんていうか、複雑な表情を浮かべていた。
俺はというと、とにかく心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしてて。
なんだよ、何なんだよこれ!って、半ばパニック。
だったから。
「潤、お前ほんとにキスしたの初めて?初めてじゃねえだろ?」
つい、言っちゃったんだ。
「はあ?!何言ってんの。初めてだって言ってんじゃん」
さっきまでトロンとして色気たっぷりだった潤の顔が、みるみるうちに赤くなって、
涙をためて怒り出した。
「え、だって…」
「ひどいよ!俺、頑張って勇気出して…。
しょおくんの、バカっ!」
「え、おい、潤!」
俺の言うことなんかなんにも聞かずに、荷物をひっつかんで出ていってしまった。
俺も、なんか恥ずかしいっていうか、
年下の、弟みたいなやつに教えてやるみたいなスタンスだったのが、見事に翻弄されて、ちょっと悔しい、みたいなのもあったのかもしれなくて、追いかけなくて。
それ以来、ちょっと気まずくなって…
同じ学校といっても2年の差は大きくて、どんどん疎遠になっていって。
卒業して、別々の大学に進んで、それぞれ就職して…
心のどっかで気にはしつつも、別々の毎日を歩んでたんだ。
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