砂浜は、走りにくくて、追いかけっこしながらふたりでもつれるように転んだ。
それもおっかしくてふたりでゲラゲラ笑う。





「もー、まーくん、つめたいよー!」

「ひゃひゃ、ごめんごめーん」




転がって笑うニノの横に、キラリと光るものを見つけて、手を伸ばして拾い上げる。



「ほら、これ」

「きれーい…すてきねー。なあに?これ?」

「シーグラス、っていうんだよ。
ガラスのカケラをね、海が、長ーい長い時間をかけて削って、角を丸くして、それでこんなに綺麗になるんだよ。」

「へえ…きれい…」



手に渡してあげると、ニノは、それをお日様にかざして眩しそうに見上げた。

ニノの丸っこい手に光る緑色のシーグラス。
見つめるニノの目もキラキラと光る。





「……?どうしたの?まーくん」

「あ…、うん、あんまり綺麗だからさ、みとれちゃった!」

「うふふ。きれいだねー!かずくんね、これ、たからものにする!」





嬉しそうに、大事そうにシーグラスを手のひらに握って、そっと胸元に当てる、ニノ。
オレがみとれてたのは、シーグラスだけじゃなかったんだけどね…。ふふ。












「さ、それじゃ、そろそろ帰ろっか!風邪ひいちゃう!」

「えー、もっとあそびたーい!」

「車に着替え、あるからね!
よーし、じゃあ、車まで競走するぞー!」

「うわーい!まけないぞー!」

「よっし、よーい、どん!」





オレたちは笑いながら車まで走った。
潮の匂いと、キラキラな海とお日様。
隣で笑うニノ。
思いがけず、すっごくしあわせな休日を貰っちゃったな。
なんだか、いっぱい遊んで体は疲れてるはずだけど、すっごくリフレッシュしたきぶん!
すっごく充実した気持ちで、家に帰ってきた。





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